夢色パティシエール1話〜けいおん〜どれみ〜富野思想
666さんがパティシエールを薦めていたので、見てみた。
これは・・・!
俺がけいおんに求めていたものをこの1話でやりきってる!
何の取り柄もなく目標もないが良い子な姉
と
しっかりものの妹
そこから姉が何かを見つける話。
けいおんが触れなかった姉妹関係の難しさとか
家族との関係とか、主人公の焦りとか、そういったものが全部詰まってる。
特に家族。
けいおんがあそこまで「家族」をオミットしたのは、
「ゼロ年代らしさ」なのかもしれないが、
「世間」のひとつとしての家族をしっかり描くことは
物語に厚みを持たせる上で非常に重要だ。
見方を変えれば、これはおジャ魔女どれみにおける
「どれみ・ぽっぷ」という対立構図でやっていたこと。
どれみは、ゆっくり「何か」を見つければいい、というところで終わったが、
パティシエールはその先の話なのかもしれない。
シリーズ構成はわかりやすく、おジャどれみの山田隆司。
さすがだなぁ。
演出面では、ディアーズ(http://d.hatena.ne.jp/mattune/20090317)の記事でも触れた
鈴木行さんがさすがだなと。
妹が優勝して写真撮ってるところで主人公が泣く〜お祖母ちゃんの回想とか
間違いなく冨野の物語圧縮法を継承してますね。
つまり、本来ならあるはずの
涙を流す〜涙を拭く〜妹を横目にとぼとぼと会場を後にする
という有ってしかるべきなシーンを省略し、
カット単位で圧縮する。
それに合わせていえば、今回の核となる「主人公の舌」は、
まさに冨野の「本物に触れ続ける」思想
以下河森のwikipeから引用
>ある時富野が講演で「昔職人を育てるには何時も本物だけを見せるようにしていた。
>そうすると特に何を教えなくても、本物と偽物の区別が自然とできるようになる。
>今のTVアニメは全て偽物なのだから、
>アニメを作りたい人間はアニメを見てはいけない」と語っていた
この話が頭に入っていると、
主人公がなぜパティシエに絶賛されたのか、という
飛躍の部分を埋めることが出来るし、
お祖母ちゃんのスイーツを食べる回想
↓
「すれ違う人みんな甘い香りがする」
↓
パティシエに絶賛
という圧縮された物語の構造の意味も理解しやすいだろう。
小さい頃からお祖母ちゃんの作った「本物」を食べ続けてきたから、
何も教えられなくても、新作のケーキのイメージをピタリと言い当てたのだろう、と。
展開が早すぎるという感想もあるかもしれないが、
出崎信者で富野好きとしては、このくらいの展開の速度が好きですね。
こんなアニメが今期あったなんて・・・
暫定一位タイですな。