ヨルムンガンドにみる「元永慶太郎の中の出崎統」

ヨルムンガンドが思った以上に良い出来だった。

きっと原作は「ブラックラグーン」に似た感じの漫画なんだろうとは思うが、
アニメ版ブラックラグーンが「片渕須直」という宮崎駿直系の監督によって作られたのに対し、
ヨルムンガンド」は日本のアニメの要素を
闇鍋のようにぶち込んだ「元永慶太郎」が監督をつとめているというのは
大きな違いだ。


エロアニメ、美少女アニメ、ロボットアニメ、BLアニメに少年漫画モノ・・・などなど
多彩なキャリアとともに元永慶太郎監督。
そのキャリアの中には、実はあの男
出崎統」との仕事もある。
出崎版ルパンに演出処理として参加しているのだ。


それの影響下はわからないが、
元永監督の中には確実に「出崎統」という引き出しが存在し、
ときどきそれを出してくる。
表層的なことで言えば、「スクールデイズ」で見せた「渾身の画面分割」は
こと00年代ということであれば、
出崎監督作品を含めても、最高の画面分割の一つであった。


ヨルムンガンドの1話でも画面分割が多用されているが、
むしろ出崎統を感じさせたのは

このカットであり

このカットであり

このPANUPだ


オサレ系アニメの元祖とも言えるルパン、その「オサレさ」の体現であった出崎演出を
ここでもってくるというのは歴史的に観て正しい。


そうみれば
緑ジャケルパンの前半部分の精神を移植した「ヨルムンガンド
後半部分の精神を移植した「ブラックラグーン
という見方も出来るだろう。


そこに元永慶太郎監督らしい「C級っぽさ」、
直接的には直近作品である「真剣」を感じさせるココの描写

が、絶妙にマッチしている。


プリンセス・プリンセス」「スクールデイズ」「刀語」に続く
ガチの元永慶太郎作品に今期は期待かな



おまけ
ヨルムンガンドの撮影は件のT2スタジオが担当。
(参考:http://d.hatena.ne.jp/karimikarimi/20120401/1333208840)
伝統の入射光が炸裂しております。