アニメの文章:プロの無料、素人の有料


ネットは広大だわ
草薙素子が言ってから20年近くが経とうとしている。
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」が公開されて当時と比べて、
実際にネットは広大になった。


アニメについて書かれたものだけとってみても、
非常に価値のあるものが大量にある。


WEBアニメスタイルはその筆頭と言えるが、
現在のサイト(http://animestyle.jp/)だけが
全てではない。
旧サイト(http://www.style.fm/as/index_old.shtml
の方が質・量ともに充実している。


「アニメ作画を語ろう」(http://www.style.fm/as/01_talk/01_talk_top.shtml

「もっとアニメを見よう」(http://www.style.fm/as/04_watch/04_watch_top.shtml
などの作画オタク必読のコンテンツは勿論だがそれだけではない。


例えば、
アニメ様の七転八倒http://www.style.fm/as/05_column/05_oguro_bn.shtml)」などは
知識面だけでなく、アニメ解説の書き方のお手本の一つ。
最近アニメにハマリ出した人や、アニメについての文章を書こうという人は
全部読んでおいて間違いない。
というか俺もしょっちゅう読み返している。
続編にあたる
アニメ様365日http://www.style.fm/as/05_column/365/365_bn.shtml)」
もある。
365日をこえて495回分あるので、
これを毎日1つ読むだけだけでも、一年以上掛かるというボリューム。


アニメスタイル以外にも、
月刊アニメージュ公式サイトの
公式サイト オリジナルコラムhttp://animage.jp/column/index.html)」
も見逃せない。


例えば
氷川竜介さんの「アニメ重箱の隅http://animage.jp/old/col/col_01/col_01_15.html)」
WEBコンテンツということで、普段の氷川の記事ではあまり出てこない
「理系っぽさ」が全開というのはポイントが高い。
氷川さんといえば、東工大の工学部から某大手電機メーカーに就職した
バリバリの理系研究員。
その理系的素養、まさに氷川さんにしか出来ないアニメ分析を読めるという点で
このコンテンツの価値は高い。
T氏などは
これhttp://animage.jp/old/col/col_01/col_01_15.html)以上のtrue tearsについての文章は、
 結局その後もなかった」
と言っている。


小黒・氷川とくれば藤津さんも忘れてはいけない
同サイトの
実は・スゴイ・このアニメhttp://animage.jp/old/col/col_02/col_02_01.html)」
および
24GIRLShttp://animage.jp/column/col_02/col_02_23.html)」


「実は」の方のチョイスはさすがは藤津さんという仕上がりで、
いわゆる「アニメスタイルセレクション」とは
一味違ったアニメが列挙されているのが面白い。


「24G」の方は、
いわゆる「キャラ萌え語り」の一つの見本。
「評論とかそういう高尚なのは無理だから、キャラ萌え語りの文章書きます」
的な若い人にここんところよく会うが、
そういう人は是非読んでみるといいと思いますね。



さらに、ボリューム的には
アニマゲ丼http://www.asahi.com/culture/columns/animagedon/)」
書いているのは小原篤さん。
大学時代は、100〜200Pクラスのアニメ評論を書きまくっていたのだから、
しがないブロガーなど太刀打ちできるべくもない。
書籍化もされているが
2012/12/17以前の記事は、特に登録等しなくても全部読める。


青少年健全条例について取材した
都庁の人に聞いてきた(http://www.asahi.com/showbiz/column/animagedon/TKY201108280112.html)」
のような、新聞記者だからこそ出来るものから
犬でも分かる押井守「犬・鳥・魚」講座その1http://www.asahi.com/showbiz/column/animagedon/TKY201201150090.html)」
のような押井監督分析まで、
硬軟取り合わせて、時々ラインを超えてるようなギリギリをやるのが魅力ですね。
プロの新聞記者が書いているガチのブログ
みたいな感じの仕上がりで、
「しっかりとした文章を書くべき」
的なことを考えるタイプのアニメオタクなら、
これは一つの見本でしょう。



で、ちょっと挙げただけでも、こんだけのものがネットにあるわけですよ。
プロの質でこの量で無料。


じゃあ、素人の書いた同人評論をわざわざ読む必要ないじゃん、
ってなるわけですよね、ぶっちゃけ。


最近、「アニメ・マンガ評論刊行会(http://www.hyoron.org/)」
を色々と手伝っているわけですが、
私含めて、前述の火影クラスのプロたちには全然敵わないわけですよ。


勿論、同人なんで、書いてる側が楽しめればそれでいい
というのはあるんですけど、
それだと逆にもうブログいいわけですよね。
これはアニメルカの時にも思ったことで、
わざわざ同人誌にする意味はなんだ?」って
思うわけですよ。


でも、まあアニメルカの時に比べると
状況が変わってる部分もあって。


もうブログはほとんど廃れちゃってるわけですよね。
みんなツイッターに行っちゃって、
karimiさんの言うとおり(http://d.hatena.ne.jp/karimikarimi/20120606/1338986541
「個人サイトやブログは、ますます衰退の一途を辿っている」んです。
だから、ツイッター型の人間がまとまった文章を書きたいなって時に、
同人誌という器があるのがまあ悪くないのかもしれない。


そして、最近、前述のような「プロ」の弱点というのもわかってきて、
それは、
結局のところ、スゴイ人はみんな50歳前後のファーストガンダム世代
ってことなんですよ。
30代後半の世代でこれっていう人が居なくて。
ましてやその下なんかもう全然いなくて。


そういう意味で、同人評論には
「若い世代の感覚」みたいなものに触れることが出来るという魅力があるんですよね。
私も年を取ってしまって、
ついに、下の世代が結構出来てしまって、
彼らの価値観に触れるというのは凄く面白い。


そういう感覚と言うのは、勿論、小黒さんらにはないし、
アニメスタイルでもそういう部分が出てくることはない。


もし同人評論に価値があるのだとしたら、そういう
ハルヒからアニメを見始めました」とか「とらドラからアニメにハマリました」
とかそういう世代の時代性が見れるということなのだな、と、
今は思っているわけです。