「TVアニメ50年史」と「今こそ観たいアニメ100選」
去年の6月から始まった「TVアニメ50年史のための情報整理」が
(http://animestyle.jp/special/tv-anime50th/)
気が付けば、50回の連載を完遂していた。
最初は「1963年(昭和38年)」とかから始まって、
まさに「アニメの歴史」という感じだったが、
週1本のペースで更新され、
ガンダムの登場、80年代、原作モノのヒット、エヴァ
そして00年代と
そこにあるのは「歴史」というだけでなく、
私の見てきた実感へと連結してきた。
アニメの歴史がどこかで断絶しているわけではなく、
やはり一本繋がった線で結ばれているという感覚を再確認するためには
絶好のコラムであった。
その一方で「50年史」と共に始まったものの、
三日坊主ならぬ13回坊主になってしまったコラムもある
「アニメスタイルが勧める今こそ観たいアニメ100選」
(http://animestyle.jp/special/recommend100/)
だ。
開始当初は「50年史」よりもむしろこっちに期待していた。
アニメの本数が増えて市民権を得た00年代は多くのアニメファンを生み出した。
そういったアニメファンにどういうアニメを薦めるのか、
と言った時に
「とりあえずは、アニメスタイルの100選見とけば間違いない」と言えると
非常に心強い。ライトファンからヘビーファンへの架け橋にもなる。
そういった期待をしていた。
開始当初こそハイペースで更新していたこのコラムだが、
開始2ヶ月が過ぎると更新が止まり、13作目で完全ストップ。
それ以降、特に動きがない。
とりあえず、13作の中身を見てみると
001『日常』(2011年・TV)
002『クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望』(1995年・劇場)
003『キャシャーン Sins』(2008〜2009年・TV)
004『R.O.D -READ OR DIE-』(2001-2002年・OVA)
005『獣兵衛忍風帖』(1993年・劇場)
006『劇場版 xxxHOLiC 真夏ノ夜ノ夢』(2005年・劇場)
007『オネアミスの翼 王立宇宙軍』(1987年・劇場)
008『MINDGAME』(2004年・劇場)
009『TOKYO GODFATHERS』(2003年・劇場)
010『DEAD LEAVES』(2004年・劇場)
011『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』(OVA・1992〜1998年)
012『銀河鉄道の夜』(1985年・劇場)
013『REDLINE』(2010年・劇場)
1番目の「日常」についてはまだ放送終了から1年も経ってない作品であり、
このラインナップに入るには疑問が残るが、
他の12作品は押しも押される名作ばかり。
例えば、劇クレヨンしんちゃんの中でも、よく話題になる
原監督時代の戦国や大人帝国ではなく、
本郷監督時代の初期の名作「雲黒斎」をもってくるあたり、さすがという感じ。
そんなわけで、ラインナップは申し分ないが、
中の解説にはちょっと物足りないものを感じる。
それは知識面とか原画マン情報とかではない。
「なぜ、この作品を『今こそみたい』のか」
という部分の解説・説明がまったくないのだ
ただ単に名作を挙げていくのであれば、既にアニメスタイルのアーカイブには
多くの作品が列挙されている。
例えば旧サイトの「もっとアニメをみよう」の
(http://www.style.fm/as/04_watch/watch01_1.shtml)
●小黒祐一郎(編集長)が選んだ
「アニメマニアになるために観ておきたい20本」
1 『THE八犬伝』(1話)
2 『THE八犬伝[新章]』(4話)
3 『御先祖様万々歳!』
4 『太陽の王子ホルスの大冒険』
5 『ルパン三世[旧]』
6 『巨人の星』83話
7 『母をたずねて三千里[TV]』(全話)
8 『未来少年コナン[TV]』(全話)
9 『ガンバの冒険[TV]』(全話)
10 『宇宙戦艦ヤマト[TV]』(全話)
11 『銀河鉄道999[劇場]』
12 『THE IDEON』(接触篇&発動篇)
13 『ロボットカーニバル』
14 『Manie−Manie 迷宮物語』
15 『妖獣都市』
16 『機動警察パトレイバー2 the Movie』
17 『DOWN LOAD 南無阿弥陀仏は愛の詩』
18 『フリクリ』
19 『人狼』
20 『マジンガーZ 対 暗黒大将軍』
番外
『少女革命ウテナ[TV]』
『ずっこけナイト ドンデラマンチャ』6話
『Gライタン』の「大魔神の涙」
『ど根性ガエル』の「かんかんアキ缶の巻」
同コラムの
●井上俊之(アニメーター)が選んだ
「忘れて欲しくない20人のアニメーター」
政岡憲三
『くもとちゅうりっぷ』
月岡貞夫
『わんぱく王子の大蛇退治』
大塚康生
『わんぱく王子の大蛇退治』
宮崎駿
『長靴をはいた猫』
小田部羊一
『どうぶつ宝島』
『わんわん忠臣蔵』
青木雄三
『ルパン三世[旧]』1話、5話
『ルパン三世[劇場]』
『侍ジャイアンツ』
近藤喜文
『姿三四郎』
『トム・ソーヤーの冒険』
『NEMO[テレコム版パイロット]』
友永和秀
『ルパン三世[新]』「マダムと泥棒四重奏」「死の翼アルバトロス」
『銀河鉄道999[劇場]』
なかむらたかし
『Gライタン』41話「大魔神の涙」
森本晃司
『スペースコブラ』1話、12話
『SF新世紀 レンズマン』
『未来警察ウラシマン』26話「ネオトキオ発地獄行き」
大塚伸治
『CAT’S EYE[第1期]』10話Bパート
『おもひでぽろぽろ』
福島敦子
『Manie―Manie 迷宮物語』「ラビリンス*ラビリントス」
うつのみやさとる
『御先祖様万々歳!』4話
磯光雄
『BLOOD THE LAST VAMPIRE』
『御先祖様万々歳!』4話、6話
大平晋也
『THE八犬伝』1話、[新章]4話
『ユンカース カム・ヒア[パイロット]』
橋本晋治
『課長王子』OP
『SPRIGGAN』
田辺修
『GOLDEN BOY ―さすらいのお勉強野郎―』3話
『THE八犬伝』1話
『ユンカース・カム・ヒア[劇場]』
湯浅政明
『クレヨンしんちゃん[スペシャル]』「ぶりぶりざえもんの冒険 飛翔編」
松本憲生
『逮捕しちゃうぞ[TV第1期]』39話
『EAT―MAN』7話
『地球少女アルジュナ』4話
田中達之
『DOWN LOAD 南無阿弥陀仏は愛の詩』
『Green Legend 乱』1話
『夢枕獏 とわいらいと劇場』「骨董屋」
番外
ビル・タイトラ Vladimir William Tytla
『ピノキオ(Pinocchio)』
ミルト・カール Milt Kahl
『ビアンカの大冒険(The Rescures)』
ドン・ブルース Don Bluth
『ニムの秘密(THE SECRET OF N・I・M・H)』
『ドラゴンズ・レイヤー(Dragon's Lair)』
さらに番外
木上益治
『さすがの猿飛』
岡田敏靖
『シートン動物記 くまの子 ジャッキー』
才田俊次
『じゃりン子チエ[TV]』
庵野秀明
『オネアミスの翼 王立宇宙軍』
河内日出夫
『ルパン三世[旧]』5話
『侍ジャイアンツ』
小林治
『まんが日本昔ばなし』
『アタックNo.1』
などなど。
最近でも「もっとアニメを観よう2011」(http://www.style.fm/as/04_watch/2011/000.shtml)
と題して、アニメーター演出家プロデューサーなどの著名人の
選んだ作品が多くあげられている。
これも読んでいくと止まらなくなってしまうが、
例えば、「進撃の巨人」が面白かったと思った人は
荒木監督のところ(http://www.style.fm/as/04_watch/2011/022.shtml)を読むと
納得のセレクションだったりするので面白いでしょう。
さて、すでに多くの人が様々な名作・異色作を挙げている中で、
この企画において重要なのは、
やはり「今こそ観たい」
この部分なんですよね。
「今見るとまた違った面白さがある」
とか
「今見ると、最近のアニメの見方が変わる」
とか
そういう要素を紹介してほしかった。
いかに「迷宮物語」をみんなでスゴイと言ったって、
00年代、つまり自分たちの見ているものとの繋がりを感じられなければ
放映本数も多い中で、視聴という一歩を踏み出すことはないだろう。
雑誌の方も好調だし、色々と大変なのかもしれないが、
こういう企画こそ
「裾野を広げる」ものであり、
天下のアニメスタイルにがんばってもらいたいところなのだ。
と、あんまり人頼みなのも良くないから
俺もこの企画で書いてみようかな・・・
でも、俺、基本的に飽きっぽくてブログの企画は全部3日坊主なのだよねw
自分の整理として、こういう出来ると良いんだろうけど・・・