あいうら蟹ナイト備忘録


あいうら蟹ナイトいって参りました、有給使ってw


そんなわけで、せっかくなので忘れないように備忘録を残しておく。



・細居さんがアニメーターとして素晴らしいのは質の高さだけでなく、物量面の多さもあるということ
・4話の先生のジャンプはコンテで想定した以上のものを細居さんが入れてきた。
・小木曽さんの特徴はリアリティ。膝裏は特にそれが顕著。
・細居さんが大胆な作画をするのに対して、小木曽さんは繊細。
・菊池さんの線には自信がある。
・原画は元々3人(細居・小木曽・菊池)でやりたいと思っていた。
・3話までは時間を掛けて作ったが、その後は怒涛のスケジュールに
・監督「簡単なコンテ」→全然簡単じゃない
・元々は劇場作品(ねら学)の後だから、軽い作りにしようという話だった→全然軽くない
・とにかくレイアウトの難易度の高い作品。レイアウトがむずかしいと、それで動かすのは何倍もむずかしくなる。
・基本が3点パースな上に、そこからうまい具合にウソをついていかなけばいけない
・一枚絵の難易度としては「ねら学」よりも高い。
・OPはもともとはエビだったが、色々あって没に。監督が「カニは?」と言ったらその場ではスルーされたが、結局カニ
・OPのカニの映像は実際にカニを買ってスーパーカメラで撮ったもの。撮影後は川に放流。
・OPの某氏似のデッサンは小木曽さん。小木曽さんは実はアニメ絵よりもデッサンの方が得意
・プロデューサーサイドから「頭身低く、フトモモ太く」という要望あり。監督は「?」だったが細居さんはバッチリのキャラデザに仕上げる
・フトモモはねら学よりも盛ってる。
・細居さんは「ねら学」の時にも買っていたフェチ系写真集をあいうらのために買い増して研究。
・それに対して小木曽さんは「男はそういうの見ちゃうと卑猥になりすぎちゃう」とのこと
 →だから、フェチではなく、筋肉の物理的な動きにこだわって作画した(小木曽さんはスポーティッシュなのが好み)
・監督も「男は(写真集を)見ないほうがいい」
・菊池さんは2話で監督から「スカートギリギリで!」と言われたので、どんどんスカートを短くしていってしまった。
・後半の話数の菊池さんの原画のスカートは短すぎてアウトっぽいのも・・・
・「芝居のネチっこさは監督の指示」という質問に対して
細居さん:監督と長くいっしょにやってると、こうなってしまった
小木曽さん:元々はこのネチッこい作画好きの面子で「あっさり」やる予定だった→全然あっさりじゃない
・絵コンテの時点でキビしいカットは監督がラフ原をやっている
・動きが複雑すぎて、2原撒きが出来ない。原画70枚のカットの2原なんてお願いできない。
・結果、3人はそれぞれ2原までやっている。
・菊池さんは出向(スタジオライブ所属なので、各作品には出向という形で参加している模様)すると、
 そこにお菓子コーナーを作り、見たこともないようなおいしいお菓子を置いてくれる。


・絵コンテに「背景先行」と書いてあるカットは、レイアウトや背景原図を経ずに、絵コンテからそのまま背景さんに回している。
・屋外のカットは背景が先にあって、後から原画を描いている。
・屋内はアニメーター先行
・「あいうら」のために背景用の写真は撮っていない。「ねら学」の蓄えを利用。
・小木曽さん「かなかの声優さんがかなかそのまんまなので、そのイメージで原画を描くと楽だった」
・ラジオは全話視聴済み

ここは小木曽さん
・4話の先生のジャンプは田村ゆかりさんのライブ映像を参考にしている(細居さん)
・ライブ映像見ているうちに王国民になりかけた

ここは菊池さん
・菊池さんは自分で動きをやってみるタイプのアニメーター
・9話コンテ時には菊池さんが寝そべってモデルをやった
・保母さんのカットは

高難易度のカット


・ゆっこんは1話と2話だけブレザー(原作準拠)
・今回は髪パサを先詰めにする実験をやっている。

このカットとか
・小木曽さんの膝裏は最初は細居さんの作監修正で消していたが監督が復活させた

・監督がレイアウト、ラフ原で動きをつけて、その上に作監修正がのってるカットも結構ある
・小木曽さんのレイアウトはやわらかい(by監督)
あいうらは特効ゼロアニメ
・画面の手前から手が来てもパンフォーカスなどでぼかさない

・リュックのゆれは研究した
・最終話フルコーラスはシナリオから
・監督のラフ原は絵コンテをわかっていない(by小木曽さん)
・監督のラフ原は「コンテの意図から外れている」という理由でよく修正された
・絵コンテを切るのとラフ原を描くのは別の脳でやっている。
・主要キャラの声優の芝居が素人っぽいのは意図的。
・「生っぽさ」があいうらのキーワード
・杉田さん、田村ゆかりさんには逆に「声優らしい演技」をしてもらいたかったので、彼らが作ってきた演技で即OKした。
・音楽は生録音。ジャズ系なので打ち込みではあのよさは出ない。


(中村監督はなぜ原画が描けるのかという質問に対して)
マッドハウスでは、監督のロールモデルは川尻(善昭)さん
・川尻さんは多くのカットのラフ原を自分で描くことで作品のクオリティをコントロールしていた。
マッドハウスではそれが理想なので、アニメーターじゃないとか関係なく、それを目指す空気だった。
・それでラフ原画を描いていくうちに、描けるようになった。
・(中村監督の原画について)アニメーターが発想しないような動きを描いてくる(by細居さん)
・アニメーターはある程度パターンで動きを作ってしまうが監督にはそれがない。だから面白い(by小木曽さん)


・(作風について)ショートアニメというと「すごいよマサルさん」の大地さんみたいなハイテンションのものというイメージだったので
 その逆をついてローテンションに!
・ソウタは菊池さんお任せ
・(レイアウトについて)放置しているカメラに写っている、というのを狙っていた(by監督)
・引きのショットは劇場の一階席のイメージ
・一階席はアオリで見ているので、気持ちが盛りあがる。逆に2階席は冷静に見る
・アオリの構図や地面ブックなどはその一階席の気分を演出するためにやっている。
・さらにそこに脚ものせる
・一つのことを一つにしない(マルチタスクの話)
・(新海誠さんについて)自分も新海さんも絵として描こうという部分に意識を置いている。
・美術の中に「ウソの色」を入れるのは自分と新海さんの共通点


あいうらの作画での試みについて)
・小木曽さんは今回初めてパース定規を購入した。
・いままではパースの正確さにこだわらないようにやっていた、今回はとことんまでこだわってみた。
・菊池さんはパース定規を使わず、全部手描き。線を引いてミリ単位で調整
・監督「原図には自信があった。でもあいうらでは自分の原図が一番弱かった」
・細居さんはコミックスタジオのパース定規機能を使用。


・パースについては「ねら学」のレイアウトの清水健一さんの考え方に大きな影響を受けた
・「あえてパース外す」「消失点は1円玉くらいだと思え」(清水語録)
あいうらでは美術の金子(英俊)さんが「外し」を巧くやってくれた
・小木曽さん「消失点が見えちゃうような画面は駄目。面白い画面のためにはパースを外さないといけない」
・菊池さん「物の大きさはパースを頼りにしてしまう。でもそれじゃ面白くならない」
・小木曽さん「自分は今回はパースを外すというよりも、アイレベルを外すことで面白さを出そうとした」
・監督「普通のアニメでは、そもそものパースが出来て居ない。あいうらではそれが出来たうえで、
    さらにそれを外すというハイレベルなことをやることが出来た。」
・縦パースと横パースがあってなくても良いんだ、ということを気づくのにアニメーターでも5年は掛かる。





感想
せっかくのあいうら、そして有給だったのもあり、
作画関係も含めて、質問しまくっちゃいましたw
でも、その甲斐あって、私としては大満足のイベント。


元作画オタクとしては、
川尻さんや清水健一さんの話がルーツとして聞けたのが良かったですね。
特に「マッドハウスでは川尻さんのスタイルがモデル」という話は結構衝撃でした。
出崎信者として、出崎さんの血が回りまわって、あいうらにも影響しているというのは感動しました。


なるほど、マッドハウスから腕のいい演出家が多く出てくるわけですよね〜


あとは、新海さんが中村監督にポジティブな感想を持っているという話ですし、
是非、二人の対談もみたいですね。
何号か先のアニメスタイルとかでやってくれないかなぁ。


第二回も是非やってほしい、そう思えるイベントでした。