あいうら蟹ナイト2備忘録


行ってまいりました、あいうら蟹ナイト2。
有給を使ってしまったので、
今週余裕なさそう・・・
なので、今日のうちに備忘録というか、メモの書き写しを



●細居さんのキャリア
手塚プロダクションには手塚治虫の漫画が好きだから入った。
美大では手塚治虫の漫画ばっかり読んでいて、求人に「手塚プロダクション」があったので、応募した。
・中村「他のスタジオは考えてなかったの?」
 細居「全然考えてなかった。手塚プロダクションだから入った」
手塚プロダクションでは出崎統監督の作品を中心にやっていた。
・入ってすぐにやったのは、ハーモニーのトレス。
 それが何枚も何枚もある。
 中村監督「そんな何枚もあるものなの?」
 細居「何枚もありましたね〜」
 動画をやったのは、3ヶ月後くらいからだった。
杉野昭夫さんからはとにかく「立体を取れ」と言われていた。
 美大でも立体が弱点だったので、かなり苦労した。


●フリーになるきっかけ
・フリーになるきっかけは白鯨伝説で、外のアニメーターと交流を持ったこと
・それまでは、手塚プロで純粋培養だったので、外のアニメーターを見て刺激を受けた。
・キャラデザの高谷さんの仕事は衝撃的だった。
・高谷さんの一人原画回(第21話)は原画のコピーをいまでももっている
手塚プロでは「立体をリアルに」という事ばかりだったが、
 高谷さんの絵や動きはそれとは違うダイナミックさがあってショックを受けた。
・フリーの最初の2年くらいは全然稼げなくて大変だった。
劇場版AIRを手伝ったことをきっかけに、小林明美さんに「ふたご姫」に誘われることに。
 中村「マッドハウスの人には『ふたご姫で有名な細居さん』と紹介された」
・フリーで色んな仕事をしながら成長の実感を感じる楽しかったので、フリーは性にあっていた。


カイジ13話
・中村、細居コンビ誕生の回。
カイジは線が多くて大変だった(太線は2本線を引いて表現している)
・キャラの鼻は定規で引いている。
・動きには中村さんの修正も入っている・
・細居「コンテを見たとき、ベテランだと思った。原作も読んで面白かったが、コンテはさらに面白かった」
・中村さんの演出修正の枚数がすごい
・原画の番号が1,2〜だとすると、演出修正で「1.1〜1.9」とかになっている。
・細居「原画の番号が5までのはずなのに、凄い分厚い」
・中村「相当入れたと思ってたら、細居さんの作監と濱田さんの総作監でさらに増えてた。まだ甘かった」
・動画枚数6000枚
・佐藤監督に「あれ、良かったけど、俺ならあと1000枚減らしても同じくらい面白いものを作れるよ」
 と言われる(プロデューサーから説教してと言われたのだろう、とのこと)
・書いているとキャラに精神を引っ張られて辛い部分もあった(by細居)(鉄骨渡りで2人脱落する回なので)
・中村「涙はレイアウトでは動かなくしてたのに、細居さんが動かした」
・中村「やっぱり、これ(濃い演出と濃い絵)で育ってきたので、こういうのが凄く合う」
・原作を活かして、さらに超えたい(by中村)
・中村さんが演出修正でツメ指示まで修正している
・中村「ムリョウで増井壮一さんがそうやっていたので、そうするものかと。
    あと、まったく絵が書けないところからのスタートだったので、
    絵が書けなくても作品を良くするという意味で、ツメ指示にはこだわっていた」
・細居「中村監督のコンテからは気持ちが伝わってくる」
・中村「コンテは伝われば(絵が巧くなくても)良い」
・絵が巧くても、気持ちが伝わらないコンテもある


魍魎の匣
・中村監督も細居さんも参加は企画の後半
・中村監督が呼んだわけではない
・むしろ小黒さんは最初から関わっていた
・キャラ原案は元は10〜13頭身あったが、中村監督の要望で9頭身におさめてもらった
・中村「和室だと頭身が高過ぎると合わない」
・細居さんの担当した話数は「和室回」だったので、いろいろと大変だった
・「このキャラは座ると頭身が変わります」と言われて衝撃的だった


●青い文学・走れメロス
・プロデューサーから「魍魎の匣のテイストがほしい」と言われた
・舞台はその後、中村作品で頻出する鎌倉。(これが初)
・細居さんは初キャラデザ
・細居「キャラデザとアニメーターはまったく別のスキル」
・絵が凄く硬い。立体に囚われている。手塚プロ風(=杉野昭夫キャラデザ風)のところもある。
・2話の西田亜沙子さんの作監修正を見て「こうすれば良かったのか!」となった
・(冒頭のシーンで)桜が落ちるのはマッドハウスの伝統。丸山さんの趣味みたいなところがある。
・1話の剣戟アクションは清水健一さん。川尻監督チックにしてもらった。
・この作品の準備のために舞台もいくつか見に行った
テニミュも見に行った(メロスはキャラ原案がテニプリ許斐剛さん)
西田亜沙子さんのデザイン的な影の付け方が良かった。
・川尻監督作品のキャラの造形みたいな濃さがマッドハウスらしさみたいなところはある(by中村)
・スケジュールが伸びたので、やりきった感はある(by細居)


●パーフェクトデイズ
・ここで中村さんはマッドハウスを退社。
・ねら学の企画等をやりながらの制作
・当時としては、脱マッドハウスで柔らかい絵をやったつもりだった
・小黒「いや、全然濃いですよ」
 中村「濃いですね、今見ると(笑)」
・舞台はやはり鎌倉
・鳥のカットは中村さんがラフ原画だが、似たカットを「ねら学」で清水さんが原画やって、
 断然巧くて、ちょっと凹んだ中村さん


●中村監督について
・中村さんのコンテは出崎さんぽい(ナナメの影とか)
・中村「出崎さんぽいって昔から言われるけど、出崎さんの作品て見たことないんですよ。」
 小黒「新海さんの作品は?」
 中村「新海さんの作品は全部見てますね」
・ハレーションは想いの高まり。
・レイアウトをやっていて、想いが高まってくるとハレーションを入れる。
・中村監督はチームをまとめるのが上手い。
・細居さんは打たれ強い。
・中村「初対面の人だと1クール終わって初めてどんな人かわかってもったいない。
    だったら、最初から慣れてる人と組みたい」
・中村監督は軸がブレない。疑問を投げかけてもハッキリと答えてくれる。
・中村「考えながら打ち合わせすると他の人もやりにくい。だからイメージをはっきりさせてから臨む」


●中村監督と荒木哲郎さん
・荒木さんと中村さんは同期
・「ねら学」のDパートの演出処理を荒木さんがやっていて、打ち合わせが演出談義になる。
・作打ちなのに、荒木さんは中村監督に質問して、丁々発止の演出談義へ
・細居「その演出談義が凄く面白い」
アニメスタイルの新刊では荒木哲郎さんのロングインタビューがあり、その中で中村監督への言及もある



●細居さんについて
・師匠といえるのは杉野さんと瀬谷さん
・関わった人みんなから学んでいる。
・枚数を使うのは動かしたいという想いが先に立っている
・4℃作品をいいなぁと思いながら見てた時期もあった
・ノイズマンとか永久家族とか田中達之さんの陶人とか
・エロスは「ねら学」の時に勉強して身につけたもの
・中村「初期案から見てるけど、どんどん変わっていった」
・前から柔らかい絵もやりたかった。
・ねら学は中学生だったので、あいうらの時は、高校生だからムッチリした体を描きたかった
 中村「最初はぶっちゃけ『高校生だからムッチリ』とか、『は?何いっているの?』という感じだった
    マッドハウスの絵ばっかりだったから、よく分からなかった。」
・中村監督にとっては萌えは勉強の対象。あえて言えば、「シチュエーション」や「人間関係」



●その他質問コーナーなど
・鎌倉はもういいかな、という感じではある。
・出崎監督と中村監督はチームでアニメを作るというところが似てる
・細居さんが好きな手塚漫画は「人間昆虫記」や「きりひと讃歌」などの後期のアダルティなやつ
・中村監督の師匠は小島(正幸)さん。小島さんにすべてを教えてもらった。
荒川アンダーザブリッジの原田大基さんのパートはタコのところ
・(前の作品をどう活かすかという質問に)
 中村「前の作品はあまり引きづらない。その作品に対してシンプルに向き合って作っていく」
・中村監督は作品のために勉強している時が一番楽しい。
・キャラデザでは「ねら学」が一番大変だった。作家にならなければ出来ないことなんだと思った(by細居)
・キャラデザには若い感性でやる人とアニメーターの技術として勉強してやる人がいる。
 細居さんは分析・勉強型
・キャラデザをやって、他の人のキャラを見たときに狙いなどがわかるようになった
・中村「同業者には『あいうら』が一番評価が高い。アニメ制作で疲れて帰ってきて、『あいうら』で癒されるそうだ」
・『あいうら』でエピローグ(いわゆるCパート)方式にしたのは、時間の省略を意識させずに巧くやるため。
 普通の本編でやってしまうと「時間の省略」を意識させてしまう。
・(襟が片方落ちてるのが中村監督の萌えポイントでは?という質問に)
 それは細居さん。
 中村さんの萌えポイントは幼なじみ。幼なじみ萌え
・(http://nikukyu-.seesaa.net/article/24319900.html これの怒り湯気の話)
 この時でもヒョウタンツギは古いんだけど、手塚漫画が好きだからやってみた(by細居)
・今風なアニメとして「けいおん」とかもあるけれど、
 マッドハウスの濃い絵のアニメをやっていた土壌から、そういうアニメをやることで
 オリジナリティが生まれるんじゃないかと思っている。



●オリジナルムービー作成中!
・商業ベースじゃないオリジナルムービーを夏のコミケで販売する。
・中村監督、細居さんキャラデザ
・長さは4分くらい
・中村「だんだんどうしてアニメが好きだったのか忘れていく人もいる。
    フレッシュな気持ちになりたいと思って作っている」
・WEBアニメスタイルで制作状況を連載したい
・今回の舞台は鎌倉ではない
・是非発売イベントをやりたい



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感想


マッドハウス育ちの中村監督と出崎統作品時代の手塚プロダクション出身の細居さん
というガッチガチの「硬派系」が、
あいうらという「今風の萌えアニメ」までどのような変遷を辿ったのか
という感じのイベントでした。


中村監督は川尻善昭監督の名前を何回も出されていて、
出崎統インブリードから生まれる萌えアニメ
というところが『あいうら』が私の好みに直撃した所以であることを再確認しましたね。


あと、魍魎の匣ファンが結構いらっしゃった印象で、
あいうら』的な方面でなく、
硬派な中村監督の仕事の方も根強い人気があるんだなぁ、と実感しましたね。
ポスト出崎統、ポスト川尻善昭な仕事は、
私もぜひ見たいなぁ。