ついにCandy☆boyの星川監督動く

星川孝文監督がブログ(http://blog.livedoor.jp/kanadeyukino/
でレイアウト解説するとか。
ウテナからのファンとしてはこれは楽しみですね


それにしてもこの絵(http://image.blog.livedoor.jp/kanadeyukino/imgs/b/9/b9d6a1d3.jpg)
用紙がピンクだw


演出修正でキャラもなおしてるという噂は本当だったのか
(一般的にピンクは演出修正、黄色は作監修正)
とてもラフ原には見えないというか
どう見ても二原いらずです、ありがとうございました



さて、せっかくだからCandyboy(以下CB)の巧みなレイアウト演出を見ていきましょうか
その前に、「良いレイアウトって何よ?」って話をちょっと。


666さんのエントリー
http://d.hatena.ne.jp/n_euler666/20090526/1243367147
でもちょっと話題になっていましたが、
私の考えるレイアウトの評価基準は次の三つです


1、情報量
2、演出意図の伝達率
3、見易さ(パースの正確さはこの中の1要素)


また、この三つはそれぞれ相反する要素でもあります。
例えば、情報量がいたずらに増えれば、見辛くなりますし、
演出意図にもノイズが入りやすい。
岡田芽武の漫画を思い浮かべてください)


見易さを重視すれば、演出意図は盛り込みにくいし、
演出意図を重視すると、独特の画面になる
出崎統作品の遠近法の歪め方はこれ)


例えば1話のこれなんかは面白い
20090531222802


これ、パースおかしいんだよね。背景とキャラが合ってない。
でも、画面の座りがいいのは窓枠がちゃんと視線誘導してるからなのと


http://image.blog.livedoor.jp/kanadeyukino/imgs/1/9/1932e62f.jpg
的ないわゆる「エロゲー画面」を意識した作りになっているから。
下の部分にテキストボックスつければゲームになりそうな感じ。


この様に、パース(遠近法)の正確さは絶対ではない、ということも押さえておいてください。


では、CBのレイアウトの演出意図を見ていきましょう。


例えば2話のクライマックス
20090531221332


この画面。
見た瞬間に「あれ?奏(黒髪の娘)の顔が切れてるぞ?」
と思うわけですよね。
言葉にはならなくても「ん?」と思う。
20090531223804

しかも、この謎のスペース。
そしてどうなるかというと
これ
20090531221333
見事にこのスペースにお金の入った封筒が出てくるという仕掛け。
しかも巧いのが、
最初のレイアウトでは「商品を見ている」目線が
封筒が出てきたレイアウトでは「封筒と見ている」目線になっている。


二枚を見比べればわかりますが、
奏の顔はまったく動いていません。
「枚数の節約」にもなっている、という寸法です。


あと、今回見直しておっ!っと思ったのは3話のラストの部分
20090531220615
まず、このレイアウト自体が、
「光の下の奏」と、「暗い換気扇の下の雫(小さい方)」
という対比になっています。
そしてギクシャクした会話が繰り広げられます。
ちなみに
20090531220616
これなんかは、確実に「包丁を見せたい」レイアウトw
もしこれが俎板を使ってキャベツやきゅうりを切っていたら、
包丁は見えません。
わざわざジャガイモを剥かせているとしか思えない。


さて、そんな殺伐とした雰囲気の中に雪乃(薄茶髪の子)が現れます
20090531220619
この絵、ぱっと見でも、3姉妹がぴったり並んでいるように見えますよね
でも次のカットで種明かし
20090531220620
実は上の斜め前からのカットは後ろから見るとこうなってたんですね。
つまり、雪乃と雫には結構距離があったんです。


この台所での位置関係がそのまま、現在の三姉妹の人間関係になっている。
シンプルな演出ですが、
間に「まるで三人がぴったり並んでいる」ようなカットを入れる事で
その後の距離感が際立つわけです。


それぞれのカットの情報量もかなり多い(冷蔵庫の張り紙や洗剤・食器、食器棚の上の箱)ですが、
それを蛍光灯の光を使って巧くキャラに視線誘導しているところも見逃せません。
(部屋の電気つけろよ、というのは野暮なツッコミw)


こう見ると、やっぱり技はラストの盛り上がりの部分で使ってるんだなぁ
4話のヤカンが沸くところも良いんだけど、それはまた今度で