ブコメレス〜湖川手法の広まり方について〜

>sasahira アニメ 「90年代は湖川友謙の手法が美少女絵に導入された時代」
>アトリエ戯雅→AICの流れがわからないと理解しにくいかも。
>キャラクターデザイナーとしての大張正己餓狼伝説)も重要だと思うんだけどなあ。


ここでいう湖川手法とはつまり
「絵だからとインチキせずに、立体はきちんと立体として絵を描こう」
ということである。


この湖川手法の伝播としては
アトリエ戯画の北爪・恩田・後藤圭二以外にも
平野俊弘・垣野内成美夫妻にも注目したいところですね。


特に大張正己AICでは平野作品に参加することが多く、
キャラについては金田伊功(ひいては石田敦子)以外にも平野の影響が大きい。
金田系と湖川系の融合というでは後藤圭二と並んで重要でしょう。
(ここでいう金田系は
『絵として面白ければ立体としての整合性はどうでもいいじゃないか』
という手法の系譜。湖川手法と金田手法という矛盾した二つの手法の融合こそが
90年代の美少女絵なのだ)


また、AICは同時に「THE 八犬伝」なんていう作品を作っているところも面白い。
八犬伝のキャラデザの山形厚史さんはビーボォー出身。
新章に至ってはミスターAIC奥田淳のキャラデザと来てる。


にも関わらず中身はうつのみや理の系譜なわけじゃんw
凄いなぁ。


他にも湖川の孫弟子にあたる結城信輝氏、
スタジオジャイアンツ出身の千羽由利子さん、
さらに弟子筋の石野聡さんなんかも、
90年代〜00年代初期の美少女アニメを色どった
湖川の系譜と言えよう。


後は、00年代の先祖返りとしては
アイドルマスター」の窪岡俊之
ハウル」「ゲド」とジブリの主力として定着した山下明彦
ビーボォー出身コンビの活躍も見逃してはいけないだろう。



ただ、前回


00年代のうつのみや ⇔ 90年代の湖川


という構図で話したが、これも系譜的には正確ではない。
というのは、うつのみや理の系譜も辿るとそのルーツの一つは
稲野義信」という人物に突き当たるからだ。


「湖川の弟子筋にして湖川を超えた男」とも称される稲野義信だが、
湖川手法をビーボォーの系譜とは別に進化させた男とも言える。
(湖川→稲野→沖浦というラインも同時に意識したい)


つまり00年代のうつのみや手法の広まりは
「もうひとつの湖川手法の発展」とも言えるかもしれない。
(こうすると、うつのみや理の系譜にほとんど関係ない「うのまこと」のことを
柳沼和良が「うつのみやさんの影響が大きい」ということの説明もできるかもしれない)


もちろん、湖川手法のみで今の萌え絵が出来ているわけではないのは
当たり前のことだが、
「立体を立体として描く」ということが80年代以来の
アニメにおける大きな命題(これに対する反発も含めて)
であることは間違えないことだろう。