宝島のジムの純粋さ、ハム太郎の純粋さ


出崎統のキャラクター魅力は様々ある


一番顕著なのが「カッコいい漢」
ジョーの力石徹を筆頭として
ジョンシルバー
宗方コーチ
ビタリス
コブラ
白鯨伝説のエイハブもここに入ろう


男が憧れる漢


そしてそれと対比して存在するのが
「拗ねた男」
こちらの筆頭は矢吹丈
宝島のマチヤ
「なんぱ船」のマリオ
AIR・クラナドの両主人公
ガンバのイカサマなんかも入れても良いように思う。


さらにこれに対するのが
「業の深い女性」
お蝶夫人
宮様
マリー
羽生菀子
雪の女王
シェーラ姫
などなど


素晴らしいキャラクターの数々。


だが、それに並び称される魅力的な出崎作品のキャラクターの類型
それは「純粋な少年」


ガンバ・家なき子・宝島の一連の作品おいて
まっすぐな純粋さ(ジョーとかは捻くれた純粋さ)
をもった少年たちが魅力的に描かれている。


例えば宝島では、やはり「ジョンシルバー」に目が行きガチだが、
その中でもジム少年の純粋さは輝いて見える。
ジムが見ているから、ジョンシルバーも本気を出す。


この純粋さをもった少年という類型は、
宝島の後、ぱったりと出崎作品から姿を消す
(後期のまんが日本昔ばなしで見る事が出来るくらい)


次に出てくるのは、「ハム太郎」を待たなければならない。
ハム太郎は久々に登場した純粋な少年だった。
そして相変わらず輝いていた。


子供の頃みた「ガンバ」や「宝島」の少年というのは
まさに感情移入先であり、
彼らになったつもりで冒険をしていたように思う。


しかし、年を取って、少なくとも少年ではなくなって、
その輝きに驚かされる。
現代社会の闇だなんだと言っても、
少年が無邪気で馬鹿なのはあまり変わっていないように、
母校の中学生なんかを見ていると思う。
中学生くらいだと「ひねくれ」になってるいるのもいるのだけれど。



輝き、ひねくれ、挫折し、漢になる
理想であり現実でもある
どれも等しく価値のあるものなんだ。
00年代にもう一度輝きを見せてくれたことに感謝いたします。