演劇とは関係性の芸術である

異世界の聖機師物語」をめちゃくちゃ面白いと思う俺は、
やっぱり流行遅れなのかもしれないと思う。
でも面白いなぁw
女の子だけでほのぼのしてるのをダラダラ見るよりは、
男も絡んでメリハリつけてくれたほうが、
見ていて楽しい。


別に
>小難しいこと考えず娯楽は楽しむ
とか
>変に意欲作みたいなの作って大転けされても困る
とか
そういう考えを否定するわけではありません。
実際、今の主流はそっちでしょう。


でも女の子がほのぼのしてるのを観察するだけの事の
何が楽しいのかがイマイチ分からない
シンプルでも良いから、演劇の基本である、ストーリーと関係性の変化が欲しい。


日常と演劇との違いの一番は「関係性の変化」です。
基本的に日常では人間は関係性が変化しないように動きます。
でもその変化が起こった時にドラマになる。


例えば「ガンダム」でいえば、アムロガンダムパイロットになることで
周りとの関係性が激変します。
恋愛モノで言えば、男女の二人の仲が変化することでストーリーになる。
いわゆる「ツンデレ」も元を辿れば、関係性の変化の表現方法の一つ
出崎がヤンデレツンデレを早い段階から使ったのは
そういうキャラに「萌える」から、というよりも演劇的な要請と見たほうが自然だ。


けいおん」が期待されたのは「ほのぼの系」と違って最初に
関係性の変化があったからです。


らきすた」と比べても「苺ましまろ」と比べてもいいですが、
基本的に「ほのぼの系」に関係性の変化はありません。
安定した世界でダラダラしてるだけです。


それがけいおんでは、主人公が軽音部に入ることで関係性の変化を見せた。
だから「この物語は関係性の変化があるな」と思わせたわけです。
「きっと合宿でまた関係性に変化があるに違いない」とね。
でも実際は関係性に変化はなかった。


例えば、よく引き合いに出す「女子高生」はそこが絶妙。
1話の「同級生を先輩と誤解する」というのは関係の見せ方としては抜群だし、
2・3話では主人公メンバーの一人が処女喪失するという形での
主人公達の関係の変化を見せている。


今期ではそういう関係性の変化の見せ方では「聖機師物語」が一番巧い。
東のエデン」もがんばっているけど、
設定の大げささに対して、あんまり主人公の関係性に変化が見られない。
王子様を拾っても、大して変わってないのが気になる。


大げさな設定をするなら「聖機師」くらい関係性に変化が欲しいというのは、
やはりオールドファッションなのかな。