ほのぼの系〜あずまんが大王・渡辺カケル・ドラえもん
現在のアニメの流行の一つに「ほのぼの系」あるいは「日常系」
と呼ばれるものがある。
女の子の普通な日常を描写した作品で
例えば、
「かみちゅ」「らきすた」「ひだまりスケッチ」
「ヒャッコ」「苺ましまろ」「スケッチブック」
「ARIA」「ぽてまよ」などなど
それらの直接的なパイオニアにあたるのが
「あずまんが大王」である。
原作も勿論優れているが、アニメがまた素晴らしい。
歴史的なスタッフ陣と言ってもいいだろう
ざっと挙げても
錦織博(最近はオタクアニメばかりだが、本領は日本アニメーションで培ったメルヘンもの)
桜井弘明(チャチャ三羽烏その1。「だぁだぁだぁ」は「あずまんが大王」に大きな影響を与えていると思う)
佐藤竜雄(チャチャ三羽烏その2.「ちびまるこ」でデビューした「日常系演出家」)
本郷みつる(潮乱太名義。「クレヨンしんちゃん」とか「チンプイ」とか)
池端隆史(末広東名義。同じく「クレしん」スタッフ。「少年アシベ」とか「ぼのぼの」とかも)
舛成孝二(後に「かみちゅ」を作る事になるのは人。)
他にも、今期監督作のある山川吉樹・別所誠人らもいる。
錦織+JC+高橋亨とウテナからの流れも見逃せない
しかし、このスタッフ陣の中でも特に目立っていたのが
19話「あくび名人 他」の絵コンテマン
渡辺カケルこと「ドラえもん劇場監督・渡辺歩」だ
錦織博がドラえもんズの監督やってる関係か、
エンジェリックレイヤーに続いての参加。
あずまんがは基本的に演出のレベルが高いが、
この19話はずば抜けている。
ロング・横位置からアップ・アオリへのカット割り、
さらにそこからの俯瞰のカット……など
「内面に迫るカット」
と
「外面を客観的に眺めるカット」
をテンポ良く見せることで、
視聴者を話に引き込む。
女の子の「素」を思わせる描写も巧みだ。
この「内面」と「外面」の相乗効果こそ、
「ドラえもん感動短編シリーズ」や「のび太の恐竜2006」で多くの子供(と一緒に観た大人)の
涙腺を崩壊させた渡辺歩の得意技。
特にこのあずまんが19話に関しては時期・テーマ的にも
劇場版「のび太の結婚前夜」の影響が色濃く出ている。
子供と大人、結婚、モラトリアムなどのテーマ
をクールに、かつ熱く演出
国民的アニメを背負って立つ演出家が
ぽっとオタク向けアニメでその実力を見せるというのは
アニメオタクとしてはたまらない。
渡辺歩なら、オタク向けの「日常系アニメ」で監督をやれば
トップに立てるだろう。
いや、「ドラえもん」という看板を背負うというのは
そのくらいでなければ成し遂げられない事なのかもしれない。
そんなわけであずまんが好きの人もドラえもん好きの人もどちらでもない人も
「あずまんが19話」と「のび太の結婚前夜」
セットで観てみてください。