今期は豊作である〜「1話が一番面白い」モデルの弊害〜


「1話で切った」


この言葉を頻繁に目にするようになったのはいつからだろうか。


「アニメバブルと言われるアニメ乱造時代においては、
すべてのアニメを見続けることは不可能であり、
1話でそのアニメを見るか否かを判断する必要がある。
つまり、1話がつまらないアニメは見てもらえさえしない」


というような事が当たり前のように言われている。
実際、このような見方をしている人が、
「濃いオタク」も含めてほとんどであろう。


その結果どうなかったといえば。


・1話で一番おいしいところを見せるシャッフル構成
・1話から負担なく楽しめる、設定も目的も物語もない空気系
高い原作再現度で原作ファンを脱落させない
最初からクライマックス


と言ったようなアニメが成功をおさめ、
成功モデルとなっていった。


ただ、これらのモデルは「1話が一番面白くなる」モデルであって、
その後は1話よりも劣るものが続いていくことになる。


もっとも、1クールならば第1話のインパクトで引っ張っていける長さなので、
この点も「1話が一番面白くなる」モデルの強みだ。


しかし、ちょっと考えればわかるはずだ
1話が面白い≠作品が面白い
ということが。



・視聴者に迎合してイビツにねじ曲がった構成
・何の発展もない物語
・原作を見れば事前に100%わかる内容


話数が進めば進むほど興味は失われていく。


ここで、今期の話となる。
はっきり言っておきたい。
今期が不作なのではない


今期の1話が不作だったのだ。


実はこれも正確ではない。
今期の1話はどれも見た限りではきちんと起承転結の「起」をやっていた。
見た限りではどれも物語として当然の1話だった。


だが、私を含めた多くのオタクはもう半ば無意識に
「一番面白いはずの1話がこの程度なんだから、この作品は面白くない」
と考えてしまう。
そして1話で切ってしまう。
あるいは「今期のアニメは面白くない」と思いこんでしまう。


だが、クールの中間地点ともいえる11月末現在、
面白くなったアニメはむしろほかのクールより多い。
今期の7・8話は豊作と言ってもいいだろう。


少なくとも私が視聴中の「にゃんこい」「けんぷファー」「電磁砲」「ささめきこと」「生徒会の一存
の7・8話はどれも素晴らしい出来だった。


それは道理といえば道理で、
1話できちんと「起」をやり、
7・8話で「転」をやっているんだから、
本当に物語が面白くなるのはここから。
これがアリストテレス以来の物語の形。


「劇とははじめがあってなかがあっておわりがあるもの」


昔話の「むかしむかしあるところに〜」という部分だけが
面白くなかったからといって、
話を聞くのをやめてしまう、その昔話はつまらないと決めつけるのはもうやめにしよう。



ではここではっきり宣言しておこう
今期のアニメは面白い!今期が不作だと思っている人はアニメ乱造時代に毒されている!嘆く前に切ったアニメを見直せ!



まあ、かく言う俺も、1話すら見てないアニメが結構あるんだけどねぇ。
仕事を辛いと思ったことはあまりないが、
本当に時間がない・・・。