幾原・ウテナが映画的〜細田守的アニメ史観・あるいは細田守の後付設定

幾原がアニメ面では虫プロとサトジュンという二大要素をミックスしたのに加えて、
もう一つ気にしなければならない要素がある。
発端は細田守のこの発言


>東映動画で育った僕にとって、師匠は幾原邦彦(44、「美少女戦士セーラームーン」)さんでした。
>幾原さんの師匠は山内重保(56、「聖闘士星矢」)さん。


まあこの際、細田と幾原が知り合ったのはウテナのときじゃん!ていう突っ込みは置いておくと、
2行目の「幾原さんの師匠は山内重保」という部分が問題。


今まで、ウテナ出崎統の近似性というのは10年前から手を変え品を変え、
さまざまな人間がしてきた。
アートオブウテナでも幾原・小林七郎対談において、
幾原が出崎統のアニメ演出における功績を説明しているし、
なんと言っても小林七郎という幾原と出崎を繋ぐ人物がいる。


しかし、不思議なことに山内重保ウテナを結びつけるようなものは
ほとんど目にしたことがない。


だが、法華狼さんが
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20091225/1261787271
等で主張している通り、
山内重保出崎統の近似性については頷ける点が多い。
アニメ史的なつながりではこの近似性は説明できない。


ここでK様の「アニメ業界全体のうねり」という説明を使えば、
「アニメに彼らのような演出家の誕生が求められる流れだった」
と言ったところだろう。


逆に言えば、幾原邦彦によって山内重保出崎統という二つの存在が
一体となったと言っていいかもしれない。
そして、それを受け継いだのが細田守だ、という寸法だ。


この理論で言えば、
山内重保作品こそ『映画』だ!」という細田守の主張と
ウテナが『映画』的な仕上がりになっていることも説明がつく。


俺なんかには、
山内重保が大好きすぎてなんとか繋がりを持ちたい細田守の願望的アニメ史観
と見えなくてもないが、
幾原と山内の繋がりにしても幾原と細田の繋がりにしても、
程度は不明だが実際にある繋がり。


まあ山内の孫弟子で幾原の直弟子を自称するなら、
サマウォなんて小奇麗なアニメ作ってないで、
ドロドロワールドに戻って来いや!
ってところですかね。