おにいさまへの2クール目を考える


おにいさまへの2クール目というのは、
なかなかに面白いものである。


おにいさまへ内の印象で言えば、
序盤の怒涛の展開から奈々子のマリ子の調教完了までを描いている
1クール目、
あるいは、心中未遂・刃傷事件とセンセーショナルに始まる3クール目が
印象に深い。


それに比べると2クール目の印象が薄いという向きもあろうが、
でも、その一方で
「君をあの夏の日に喩えようか」が出てくるのも2クール目。
あそこらへんは「おにいさまへ」の中でも最も美しい。
宮様の矜持はそれだけで「おにいさまへ」を少女漫画たるものにしており、
あの2クール目の宮様への肉薄こそが、
出崎統監督の「竜崎麗香」のリベンジであるのだ。


エースをねらえ"ファイナルステージ"において、
自分の世界を脱することのできなかった竜崎麗香をどうすれば救えるのか。
「華星夜曲」の菀子という
柳原菀子(またの名を柳原白蓮)をモデルにしたキャラを
とにかく外に出そうとする。


それを踏まえた上での宮様・一ノ宮蕗子という女性。
その描写の筆致の高まりはおにいさまへの2クール目にこそある。