2000年代の出崎アニメその2


コメント欄を見て
板垣さんが2000年代も書いてると知る
http://style.fm/as/05_column/itagaki/itagaki217.shtml


うむ。
大丈夫だ、
それぞれの作品の感想は1990年代よりも少なめだ。



というわけで、劇ハム太郎の3作目
「オーロラ谷」から・・・ではなく、その前に
「ASTROBOY 鉄腕アトム特別編」がある!


ASTRO BOY 鉄腕アトム特別編 アトム誕生の秘密』


劇場版ハム太郎は毎年年末に公開される。
「幻のプリンセス」の公開が2002年12月
なんと翌年の2003年4月には、
アトム特別編、その一作目を公開しているのだ。
この仕事量、さすがの一言。


内容はというと、
これが出崎監督らしいケレン味たっぷりの
「アトム誕生」


この作品の見どころは
出崎監督の中の「父親像」の変化を感じれることだ。


出崎監督の描く「父親」あるいは「父親代わりの人間」というのは
非常に魅力的で理想的で超人的なオヤジであった。
丹下段平・ジョンシルバー・ビタリス・ブラックジャック
宗方コーチもある意味ではここに入るかもしれない。


しかし、アトム誕生で描かれる「父親」は魅力的で理想的なオヤジではなかった。
情けなく、現実的で、無力。
ここには出崎監督の心境の変化がありありと描かれている。


今までは母子家庭で育った出崎監督が、
理想的な父親を夢想し
それを描いてきた。
持たないがゆえの憧れ。


ではなぜ。
それは出崎監督もまた「父親」になったからではないか、と思う。
夢想した「父親像」と、「父親」としての自分自身のギャップ。
出崎監督のインタビューで、彼もまた「父親」になっていた事が
伺えるものがある。
そのインタビューは「このアトム誕生」から繋がる物語
『劇場版クラナド』の登場を待たなければならない。
アトムの現実、クラナドの夢

ASTRO BOY 鉄腕アトム特別編 イワンの惑星〜ロボットと人間の友情〜』


ハム太郎に行く前にもう一本あるんだなw
20分の作品とはいえ、限定公開とはいえ、劇場作品。
それを4・5ヵ月刻みで作っちゃうというのはさすが。


こちらの作品は「アトムの誕生」とは打って変わって
アトムin白鯨伝説という趣向だ。
80年代の出崎作品を彷彿とさせる
暑苦しさが心地よい。
アトム特別編の中で、一般的な評価が一番高い作品でもある。


ヒロイン(?)がクイーンビーこと勝生真沙子さんで、
キャラデザもなんか明らかに手塚キャラじゃないのがまたw
作画監督の西田正義さんが杉野キャラに似せて描いたのかな?
西田さんのアニメーターとしての力量もこのシリーズの見所の一つ。


劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムグランプリン オーロラ谷の奇跡 リボンちゃん危機一髪!


ハム太郎VSエイハム船長!最後の戦い!


って感じの本作。
正直なところ、劇場版ハム太郎の中では一番大人しい印象です。
まあ他の作品がぶっ飛び過ぎなんだですがw


と言っても、
出崎監自ら作詞の海賊の歌を熱唱する大塚明夫船長は圧巻!
もうとにかく、大塚明夫を最高に堪能できる一本


「海賊はな!海賊らしけりゃそれでいい!こまけぇことは気にしねぇもんだ!」


とにかく大塚明夫船長がかっこよすぎて、
ハム太郎はレースには勝つが、完敗です。
そして、大塚明夫に匹敵するこの作品の魅力が
「雪」の表現!



キャプじゃあ凄さの10000分の1も伝わらないので、
本編みてくれ!
この雪は、アニメの雪史上、最高クラスの映像です。
そう、このアニメは少年が雪が好きになる話でもある。


また、長くなったのでここらへんで。
次回は、劇場版ハム太郎最終作にして、
一番の怪作、絵本の塔から