ピングドラムの演出を語る上でのフレームワーク


演出というものは、決して物語だの脚本だの思想だのテキストだのを伝えるための道具ではない。
そこに囚われた00年代人にはピングドラムの演出について言語化するのは難しいんじゃないかと思う。
演出は感情から発され、感情を揺り動かす


忘れるんだ、物語を


そこで有効なのが
「コンテ」「光」「時間」「音」
というフレームワーク


ここでいうコンテというのは、絵コンテを念頭におきつつも
原義である「continuity(連続性)」の意味を多分に含む。



ざっくりとまとめれば、
「光」と「時間」と「音」の「連続性」
に注目する方法論。


例えば、簡単な「光」の話



ここ以降、
「白」のシーンと「黒」のシーンが交互に積みかねられている




音楽の特異性というのはわかりやすい、
デザインの面白さにも目が行く。
しかし、その一方でこのシーンは「光」でテンポを作っている
時間軸を作っているシーンである。
感情を揺さぶる「光」


そう見ると例えばこれなんかは面白くて


「黒」のシーンでは「白い煙」
「白」のシーンでは「黒い煙」
なかなかに意識的だ



「白」と「黒」の対立と共存
「ペンギン」というモチーフはそのまま演出技法に直結するのだ
「パンダ」ロボの
白い煙の中から


黒いスカート登場するのもまさにそれ


男二人の「黒い」パンダもそう
この二人の服装だって

黒と白だ



ピンクの背景だからこそ

「青い」髪の毛からインするカットが際立つ
このキャラが青い髪の毛なのは、バッフクラン星人だからでも
アニメの慣例でもない。
演出的なギミックなのだ。



そして艶やかなピングドラム空間明けの

小林七郎御大リスペクトな「暗い空」へとつながる
この空のインパクトは、ピングドラム空間に勝るとも劣らない。