アニメオタクにとって問題なのは、タコツボ化しすぎてる事じゃなくて、十分にタコツボ化してないことだと思う


なんかアニメオタクはタコツボ化してる、
みたいなことを言っているのをよく聞く。


いかにも日本人的な発想だよなぁ


なんつーの?
「日本企業はスペシャリストよりもゼネラリストを好む傾向がある」
みたいな、ね
教科書的な分析にはそう書いてある。
その一方で、ビジネス本とか自己啓発みたいなのには
スペシャリストになれ!中途半端な器用貧乏にはなるな!」
みたいなことが書いてあるわけだ。


でさ、タコツボ化っていうのはつまりは細分化・専門化なわけですよ。
前に
「タコツボ化はネット世代の特有の現象」とか書いてるのを見たことがあるが、
意味がわからんw


世の中の学問のほとんどはネット以前から細分化の一途だろうに。
医学だって、専門はめちゃくちゃ細かくなってるし、
物理だってそう。
経済学だって、
計量経済学だの数理経済学だの環境経済学だの産業経済学だの
その他、もうわからんくらい色々あるわ


学問だけじゃない
格闘技だってそう。
立ち技最強だの寝技最強だの打撃最強だの
技術も色々
パンチ一つにしても、
空手とボクシングと日本拳法じゃあやっぱり違う。
一口に空手と言ったって流派が色々あったり。


人間には限界がある。
肉体的にも精神的にも。
すべてのことを極めるのは不可能なんだよね。
だから、細分化・専門化する必要がある。
いわば、人間の持つ時間の使い方の「選択と集中


もちろん、専門同士の共有の難しさは確かにある。
企業における、営業と企画の対立なんかはそれが実務として現れてくるところ。
総合格闘技」のルールつくりの難しさ
なんてのも同じこと。
でも、その専門の壁を乗り越えても、
その専門の技術の共有するだけの価値があるから(SECIモデルの共有化)
それに対する欲求も高まる。
空手と柔道のどっちが強いのか
ボクシングとプロレスは、などなど



でも、今のアニメオタクはまだまだその段階じゃないでしょ。
素人を集めて総合格闘技なんかやっても
ショボイ喧嘩と変わらない。


ぶっちゃけ今の状況は
「空手経験者と素人がボクシングをやったら
空手経験者の方が強いです」
みたいなもの。
何でもいいから、真剣にアニメを見てる人が
他の人よりもちょっとだけアニメに詳しいというだけ。


アニメの作画にしたって演出にしたってあるいは声優の演技論にしたってマーケティングにしたって
「専門」ってほど掘り下げてる人なんてほとんど居ない。
「作画オタクのほとんどは結局はアニメーターかアニメーター志望者だ」とか
まことしやかに言われているが、
結局はそういう「作る側」の詳しい人がいるってのが現実なのかもしれないな、とは思う。


そんな段階だから、
「タコツボ化反対派」がマジョリティになることはなくて
でも、一定数は居て。
結局こういう人は、
自分の無知を正当化したいだけなんだ。
「俺がわからないのは、あいつらが専門化してるからだ、俺は悪くない、悪いのはあいつら」
こういう発想。


「わからないから教えろや!」
って開き直る方が全然マシだと俺は思います。
「お前らはどんどん専門化しろ、面白い役に立つ部分は俺にも教えてくれ」
ってね。
ガンの専門があるから、今はガンの治癒率は非常に高くなっているわけだよね。
専門化の恩恵。
だから、作画の話で言えば、
やっぱりアニメ様とか水池屋さんとかの存在は大きくて。
ウテナのブックレットとかにちょろっとアニメーターの話とかが載ってると、
それだけで面白さが広がるんだよね。
水池屋のこの間のイベントも、俺は参加できなかったけど
若手アニメーターの裏技的なテクニックの話がメインだったみたいで
そういうのも、面白いよね。
で、そういう共有するだけの価値があるものが
レポートでも雑誌でも2chでもいいからちゃんと表に出てくれば、
別に専門化してても問題ないわけですよ。
そこまで専門化してる人も少ないというのが現状ですし。


なので、アニメオタクはもっと専門化した方が面白くなる。
「物語」だ「文芸」だ「脚本」だ
言ってる人は確かにいるけど
「脚本段階で三点リーダーを一個入れると、映像にどのくらいの影響を与えるか」
みたいな疑問に答えてくれる人はいなくて。
こういうのにスラスラ答えてくれる人がいたら良いのになって。
俺にはその答えがすぐには理解できなくてもさ。