あいうらは三度刺す


毎年のことだけど、この時期は仕事が忙しくて、
記事を書くのが億劫になってしまう。


今期も色々と面白いからもうちょっと書きたいんだけど。


というわけで、「あいうら
時間のない私にぴったりの優秀な5分アニメ


なにが優秀って、あいうらは1本に少なくとも3カットは素晴らしいのがある!
あいうらの本編部分は実質3分だから、
実に1分に1回はグッとくるカットがあるということになる。
この密度は素晴らしい。


1話から見ていこう。
まずはこれ

フトモモ!フトモモ!!フトモモ!!!(ヤマカンの妄想ノオト風に)
久々に「脚アニメ」が来たな!という印象


かつては、アニメ様提唱の「3大脚メーター」として
沖浦さん、山内(則康)さん、平松(禎史)さんの3忍が君臨していた。、
(参考:http://www.style.fm/log/01_talk/okiura03.html)
比較的近年であれば、平松さんがエンジェルビーツ6話でその脚メーターっぷりを
遺憾なく発揮したり、
山内さんが「まりあほりっく2期」で凄くいい脚を描いていたりはするが、
それに続くものがなかなか居ない。


そもそも今の萌え「記号」だとか何とか言ってるのが多すぎて、
身体性を感じさせることが肝心である「脚」は萌えから敬遠されている。
(おっぱいが「巨乳」などの簡単に定義できる記号を持っているのに対して、
脚にはそういうものがないのはその一例)


そこに来て、このあいうらのこの脚だ。
原画は細居美恵子さん。
手塚プロダクション出身というだけあって、
美麗な作画をする人だな、という認識はあったのですが
ふたご姫の2期のBANKとか)
ここまで見事な「脚」を描かれるとは知りませんでした。


演出側もわかってやっていますね。
中村監督と細居さんは「ねらわれた学園」からのコンビ継続なので、
細居さんの脚のエロさに気づいていたのでしょう。


「ねら学」のエロさというのは、アニメスタイル003でも
ねらわれた学園の官能性」として特集されてましたが、あれは掲載された原画が
どれもキャラのバストアップとかで、脚が無いんですよね、
タイトルのところのティザービジュアル用のラフ以外。
このラフも良い脚だなぁ。


というわけで、「あいうら」の見所はまずは「脚」なわけです。


1話で衝撃を受けた2つ目はこれ


マッチカット的な要素を持った、トリッキーなカット割り!
これが演出なんだよ、わかるか、かおり?


「日常描写だからつまらない」なんて事は絶対にない。
こんな単純なバスに乗って降りるだけですら、
ここまで衝撃的に出来る。
だらだらとカットを繋いでいたら、こういうものは作れない。


3分しかない中でどうするか。


そういう制約が表現を作っていく。
日常4コマものをダラダラと20分もかけてやるヌルさ。
この演出をみてしまう、そういうヌルさがまさに
時間を湯水のように浪費している」ように見える。
3分しかない。せいぜい20・30カット程度。
1カットだって無駄にしたくない。
そういう意志力が作品を成立させている。



そして3つ目がこれ


このカット・カット繋ぎは実に巧みだ。


まず第一にイマジナリーラインを超える映像的なフック。
しかも、ただ映像的なフックのみで超えているのではない。
奏香の心情の変化
(高校の制服サイズ大きかったかな?)→(そのうちサイズ合うよね!)
の表現としてのイマジナリーライン超え。


さらにこのカットは上の
(大きかったかな?)→(合うよね!)
の間にBGMであるED曲に「そんな心配いらなかったね」と言わせる巧さ。
まさに計算されつくした構成。


そして、このラストカットが構造的な意味ももっていることも忘れてならない。
冒頭、縁側のシーンから始まり、
そして最後に縁側を見せて終わる。


朝の縁側と夜の縁側。縁側と少女。
この1話一本通しての構造が、このラストカットによって生まれてくる。


これほど、巧さが凝縮されたアニメは過去にもほとんどないのではないだろうか。
技巧派演出と身体性のあるアニメート、この理性と感性のバランス感覚が
1カットも取りこぼさない、という決意の元に作っている。
まさに職人芸のアニメ。


朝、仕事に行く前のちょっとした時間に
あいうら」を見ることで、その3分が非常に充実した体験となり、
元気を与えてくれる。
私にとって、このあいうらはそういうアニメだった。



2話・3話についても書きたいけど、長くなったのでまた今度