藤津亮太さんのレビュー(短評)の書き方講座〜トトロ編〜を受けてきた


今日は
藤津亮太さんの『レビュー(短評)の書き方講座』
に参加してきました。


藤津さんで「レビュー講座」というと、
似た名前の『アニメレビュー勉強会』というのがあるそうですが、
これはそれとは全く別物。


私は『勉強会』の方には参加したことがなくて、
それは、藤津さんの考え方とか手法は、私のものと全然違うので興味はあるものの
「参加者が採点して意見交換」というのにあんまり魅力を感じなかったからです。


それに対して、この「書き方講座」は藤津さんが指導をしてくれるとのこと。
最近は仕事でも、仕様書・企画書・報告者の類を書く多くなったので、
趣味を実益を兼ねて、という意味でも良いかな、と思って受講しています。


というわけで、第1回目の題材は『となりのトトロ』でした。
フォーマットは800字〜2000字で、掲載媒体を各自想定して書くというもの。
参考文献としては『ジブリの教科書3 となりのトトロ』が紹介されました。


●書いてる時の思考
これまで、媒体を想定して書くということをやったことがなかったので、
実はこの部分に凄く苦労しました。
アニメ誌でトトロという括りだと、2000字じゃ足りない感じがしたし、
アニメスタイル風」じゃあ藤津さんの講座を受けてる意味ないしなぁ、
なんて考えた結果、普段良く読む
「オフィス向けフリーペーパー」あたりにしよう、
と漠然と決めました。


そして、そう決めると、対象年齢的に
「3歳の時の私の見方」ではなく「今の私の見方」を主軸にしよう、となりました。
やっぱり、幼ない頃から見ているので、どうしても、
その頃の見方に引っ張られて今でも見てしまうのですが、
そうではない見方もあるだろう、と。
最近の私なら「百合」とか「女の子同士の関係」という部分に主軸をおいてみようとなったわけです。


また、ここ数年、「きょうだい構成」による性格分析というのに凝っていて、
仕事やプライベートの人間関係に応用していたので、
これをアニメにも援用できないかな、と考えていました。
トトロのサツキとメイは、割とドンピシャでこの理論が当てはまることは前から思っていたので
ここで使ってみよう、となったわけです。


ただ、「きょうだい構成性格診断」を主として「トトロ」を従とするか、逆にするか
というのは、かなり悩んで、どっち付かずのまま、
なんとなく「性格診断を元にトトロを観ていく」という方向になってしまいました。


というわけで書いたのがこれです

掲載媒体:R25


 世の中には多くの占いや性格診断がありますが、その中でも今ひそかに注目を集めているのが「兄弟姉妹構成性格診断」です。血液型や星座による占いは根拠がないと敬遠する方も多いようです。しかし、この兄弟姉妹構成による性格診断は、生まれ育った環境が性格に影響を与えるという当たり前の事を前提としています。今回は名作アニメ映画『となりのトトロ』を題材に姉妹について考えてみましょう。


 まずは「妹もち姉」のサツキから見えていきましょう。「妹もち姉」の特徴を一言でいうと「実は頑固な世話好き娘」です。『となりのトトロ』の中でも、何かと家族の世話を焼くサツキ。お父さんより早く起きて、全員分のお弁当を準備するサツキはまさに生粋の世話焼きガール。彼女がトトロに初めて会ったのも、お父さんのために傘を届けに行った時でした。トトロも彼女の「世話焼き」を見ていたのかもしれません。


 そんなしっかり者であるがゆえに、「妹もち姉」は甘えベタという一面も持っています。思い出してみてください。お母さんのお見舞いに行った時、飛びつくメイに対して、サツキはお母さんと少し距離をおいて話しています。素直に甘えられないのです。そして、お母さんもそれを分かっているから、「髪を梳く」という形でサツキとのスキンシップを大事にします。また、この「甘えベタ」という特徴から、その想いがたまると爆発して大泣きしてしまいます。サツキがお母さんを想って泣くシーンはまさに、想いの爆発でした。


 一方、「姉もち妹」のメイはどうでしょうか?「姉もち妹」の特徴は「自由きままなロマンティスト」です。家の中に常に先輩でありアドバイザーである姉がいた「姉もち妹」。先回りして姉が何でも考えてくれるので、妹は考えるよりも感じることが多くなります。『となりのトトロ』のメイもまさに感性に優れた女の子でした。煤渡り(まっくろくろすけ)を探す場面でも、サツキが「世話焼き」を発揮しお父さんを助けに行くのに対して、メイは煤渡りの気配を感じとり捕まえます。もしメイが理屈で考える女の子だったら、煤渡りやトトロといったオバケのようなものたちとお近づきになることもなかったでしょう。感性豊かな「姉もち妹」のメイはトトロと出会うべくして出会った女の子だったのです。


 しかし、感性で生きるために、一時の感情で行動してしまう側面もあります。サツキが学校に行って、おばあちゃんと二人になったメイは、寂しくて学校に来てしまいます。この時、メイは一言も言葉を発しません。理屈ではなく感情がメイを動かしたのです。この性格のために大きな問題となったのが、ラストの「メイの迷子」です。お母さんの命が危ないかもしれないと聞いたメイは、大人の足でも3時間は掛かる病院へ、とうもろこしを届けるため走りだします。まだ4歳、「どうしよう?」と不安になってもおかしくはありませんが、感情がメイを動かします。感情で動くため、子供とは思えない決断力を発揮した反面、迷子になり周りを困らせてしまいました。この長所と短所の裏返しが、メイの、そして「姉もち妹」の特徴なのです。


 ここまで見てきてどうでしたか?姉妹の性格というものが見えてきたでしょうか。『となりのトトロ』はアニメであり、サツキとメイは架空の少女たちです。しかし、彼女たちはまるで実在の人物であるかのように、「兄弟姉妹構成性格診断」と合致していました。そんなわけで、「姉妹」の女の子がいたら、サツキやメイを思い出しながら付き合っていくと、きっと上手くいきますよ。


参考文献:『きょうだいでわかる!LOVE&キャラ診断』(著:前田 健)


正直、最後まで、「男性向けか女性向けか」というところを決めかねていました。
男性向けなら「アニメで学ぶ合コン術」みたいな感じになりそうだし、
女性向けなら「職場の人間関係のための性格診断」みたいな感じでしょうか。
私自身が男なので、男向けの方が書きやすいんですが、
ネタ元の本が割と女性向けに書かれているので、こういうのは女性向けの方が良いのかな
なんて思ったり。


「まあでも、R25にすれば、ターゲット広そうだし、まあいっかぁ」
的な感じで、そこはぼやかしています。


そんなわけで、講座で藤津さんの指摘を受けてきました。

第1段落
イントロとしては悪くないのだけれど、結論のスケールがそんなに大きくないので、
あまり大上段にならないほうがいいかも。

今回は名作アニメ映画『となりのトトロ』を題材に姉妹について考えてみましょう。

は「姉妹もちの女の子への理解を深めていきましょう」
とかにすると、具体化され良い。


第5段落

サツキが学校に行って、おばあちゃんと二人になったメイは、寂しくて学校に来てしまいます。この時、メイは一言も言葉を発しません。

このあたりは幼さとして演出されていないかな、という気持ちも。
メイは4歳だから仕方ないのではないか、と。


第6段落

となりのトトロ』はアニメであり、サツキとメイは架空の少女たちです。
しかし、彼女たちはまるで実在の人物であるかのように、「兄弟姉妹構成性格診断」と合致していました。

フィクションは、現実の人間を参考にしているので、フィクションのキャラクターが実在の人物と似ていることはさほどの驚きではないはず。
むしろ「姉の典型」「妹の典型」という紹介をする方がいいのではないか。


元々、ちょっとあいまいな部分が見事に指摘されてしまった感じですね。
第1段落について
男性向け(あるいは合コン向け)か女性向け(同性との人間関係)かという部分を
決めかねていたので、
「とりあえずハッタリをかます」といういつもの方法に出てしまいました。
対象を広くと、「広く効用がある」と見せなければいけないので、
自然と話が大きくなるというか、ハッタリ交じりになっちゃうんですよね。


対象をきちんと選択すれば、ハッタリは不要になる、と。
具体化の一つの形なのかもしれません。


第5段落について
この部分は、いわれて見ると確かに、という盲点の部分。
この部分は削って、最後の「とうもろこしを届ける決断」という部分に絞って書いたほうが、
「4歳とは思えぬ決断力を発揮したのは、この性格のため」と出来ていいですね。


実際、サツキとメイだと、サツキの部分の方がスラスラと書けて、
この部分は藤津さんからの指摘もなく及第という感じだったんですが、
メイの部分の方が苦労しました。
やっぱり、私が妹もち兄なので、同じ「妹を持つサツキ」に感情移入している部分があるのかな
なんて思ったり。


第6段落について
迷いが出た部分でもあり、藤津さんと私の違いでもあり。
迷いとしては「主従をどうするか」と「対象」ではあるんですが、


フィクションのキャラクターが実在の人物と似ていることはさほどの驚きではない


この部分なんですよね、迷いであり、疑問なのは。
私の中では「アニメはリアリティや現実に縛られる必要はない」という考えや
あるいは、最近のアニメへの批判としてよく使われる「思考にリアリティが無くて、感情移入できない
という意見が渦巻いていて、
「アニメのキャラクターが実在の人物と似ている」のが「普通」なのかどうかが決められなかった。
むしろ、「キャラに実在性があるというのはスゴイことなんじゃないか?」とすら思ってしまうのです。


そこらへん、藤津さんはある意味、アニメというものに対する「信頼」みたいなものがあるんだろうな、
と思うわけです。
私が疑う「アニメの力」について、「キャラの実在性」という部分で信頼している。


でも、アニメを、合コンにしろ会社の人間関係にしろ、生かそうというなら、
アニメの力を信頼しないでどうするんだ、と、
そう言われればそうなんですよね。
これは、一つ学んだというか、希望をもらった部分ですね。



というわけで、それを受けて即席修正

 世の中には多くの占いや性格診断がありますが、その中でも今ひそかに注目を集めているのが「兄弟姉妹構成性格診断」です。血液型や星座による占いは根拠がないと敬遠する方も多いようです。しかし、この兄弟姉妹構成による性格診断は、生まれ育った環境が性格に影響を与えるという当たり前の事を前提としています。今回は名作アニメ映画『となりのトトロ』を題材に、姉妹もちの女の子への理解を深めていきましょう。


 まずは「妹もち姉」のサツキから見えていきましょう。「妹もち姉」の特徴を一言でいうと「実は頑固な世話好き娘」です。『となりのトトロ』の中でも、何かと家族の世話を焼くサツキ。お父さんより早く起きて、全員分のお弁当を準備するサツキはまさに生粋の世話焼きガール。彼女がトトロに初めて会ったのも、お父さんのために傘を届けに行った時でした。トトロも彼女の「世話焼き」を見ていたのかもしれません。


 そんなしっかり者であるがゆえに、「妹もち姉」は甘えベタという一面も持っています。思い出してみてください。お母さんのお見舞いに行った時、飛びつくメイに対して、サツキはお母さんと少し距離をおいて話しています。素直に甘えられないのです。そして、お母さんもそれを分かっているから、「髪を梳く」という形でサツキとのスキンシップを大事にします。また、この「甘えベタ」という特徴から、その想いがたまると爆発して大泣きしてしまいます。サツキがお母さんを想って泣くシーンはまさに、想いの爆発でした。


 一方、「姉もち妹」のメイはどうでしょうか?「姉もち妹」の特徴は「自由きままなロマンティスト」です。家の中に常に先輩でありアドバイザーである姉がいた「姉もち妹」。先回りして姉が何でも考えてくれるので、妹は考えるよりも感じることが多くなります。『となりのトトロ』のメイもまさに感性に優れた女の子でした。煤渡り(まっくろくろすけ)を探す場面でも、サツキが「世話焼き」を発揮しお父さんを助けに行くのに対して、メイは煤渡りの気配を感じとり捕まえます。もしメイが理屈で考える女の子だったら、煤渡りやトトロといったオバケのようなものたちとお近づきになることもなかったでしょう。感性豊かな「姉もち妹」のメイはトトロと出会うべくして出会った女の子だったのです。


 しかし、この感情を優先してしまう性格が災いしてしまう時もあります。お母さんの病院からの電報を受けとったサツキとメイ。電話を借りて、サツキが事情を病院に聞きます。サツキは姉として理性的に行動しますが、メイは納得できません。理屈より感情を優先するメイは理屈で説明されても「お母さんが病気が良くない」ことを理解していないのです。メイにそれを実感させたのが、前述のサツキの「大泣き」。これを見たメイは、「お母さんが危ない状態だ」ことを実感します。そして、とうもろこしを届けようと走り出します
 理屈ではなく感情がメイを動かしたのです。大人の足でも3時間は掛かる病院です。まだ4歳、「どうしよう?」と不安になってもおかしくはありませんが、サツキの感情の爆発がメイを動かします。感情で動くため、子供とは思えない決断力を発揮した反面、迷子になり村を挙げての大きな騒動へと発展してしまいました。この長所と短所の裏返しが、メイの、そして「姉もち妹」の特徴なのです。


 ここまで見てきてどうでしたか?姉妹の性格というものが見えてきたでしょうか。となりのトトロ』では宮崎駿監督の自身の経験や多くの人の体験が生かされています。その中で宮崎監督が描いたサツキとメイは「妹もち姉の典型」「姉もち妹の典型」と言えるでしょう。
そんなわけで、「姉妹」の女の子がいたら、サツキやメイを思い出しながら付き合っていくと、きっと上手くいきますよ。


直しは講座のカリキュラムには入ってないので、
ブログを書きながらの一発直し。
まだ微妙かもしれませんが、
こんな感じで藤津さんの指摘を反映してみました。


メイの部分に関しては、自分で見ても、こっちの方が全然良いんじゃないかなという感じですね。
あとは、もうちょっと大改造するなら
「子供っぽいところが姉もち妹の弱点」みたいなまとめ方をすると、
「幼さの演出」という部分を二重に使えるのかな、と思ってみたり。


というわけで、トータルで見てスゴイおもしろかったです。


ちなみに、講座では他の人の原稿の直しについても聞けるので、
それもまた面白かった。



そして、次回の課題は「秒速5センチメートル


う〜む、どうしたものか。