「間」と魔法つかいプリキュア5話

大地丙太郎さんの著書『これが「演出」なのだっ』に次のような記述がある

「間(ま)」
何事も「間」が命です。


(中略)


たとえば、『時そば』の一節。
「そばってのはやっぱり細くなくちゃいけないね〜、
そこんとこいくってえと、おめえんとこのは……太いね」
 文字で書いても伝わりにくいかもしれませんが、
この「……」で息を吸い、止めるわけです。
その「止め」が「間」です。その息を吸うときに、
お客さんにも一緒に息を吸ってもらうわけです。
そして「太いね」で落とす。
その瞬間、吸って止めた息を一気に吐いてお客さんは笑うわけです。


(中略)


笑いの演出でなくても、たとえば緊迫したときの「間」、
普通の会話の間合い、すべてに同じことが言えるでしょう。


目には見えないが、そこにある「間」。
たまに、それを強く感じる時がある。
魔法つかいプリキュア5話はそうだった。



印象深いのは、やはりこの話数のメインであった、
みらいとリコの喧嘩と仲直り


みらいとリコが決裂するこのカット。




このリコの溜め。


そして「名前呼び」を認めるこのカット




決裂と仲直りのカットで、
類似した「間」の演出を行っている。


面白いのは、動きのプランとして「間」の呼吸を取り入れている事。
そして、
決裂では振り返り、仲直りではそっぽを向く
という逆転の芝居でリコという人間を表現していること。


この5話は、初代『ふたりはプリキュア』ほど深刻な話ではなく、どちらかというと
『スイートプリキュア』の二人を思わせる、ちょっとした喧嘩の話になっている。
それに緊張感を覚えたのは、
「間」の作りの上手さによるものだろう。


コンテ演出は最近では岸監督作品への参加が多い政木伸一さん。
カーニバルファンタズムではまさに「お笑いの間」を表現した
放課後路地裏同盟のコンテを担当していた。

是非、魔法つかいプリキュアのローテに入ってほしいですね。