【出崎統】源氏物語千年紀 Genji 1話 春と夢

ほぼ満足な出来
作画的にも思ってたよりも大分まともだった
(あえていうと、キスシーンをもうちょっとどうにか…)
あれだけゴタゴタしてたのに、良くぞここまで、という心境


やはり出崎統の構成の巧さが際立つ
今回のキーワードは「春」


雨のシーンから始まって
春(現在)→冬(過去)→春(過去・源氏元服)→春(現在)
という繋ぎはさすが
「春」は藤壺が待ちわびた「その時」であると同時に
源氏の青春の始まりでもある
あるいは藤壺のいう「その時」は
ナレーションの言葉通りの意味ではないのかもしれない
という事も予感させる

このナレーションも曲者
これ、紫の上なんだよね
つー事はこのナレーション、中立的な立場じゃないという事になる


つまり、さらに外側の構造として
「紫の上の回想」というのがある事
これがどの時点の紫の上なのかも興味深い


また劇場版AIR以降、出崎の頭を渦巻いている
「夢」を使った構造・演出も健在
母を失った時から見続ける夢に
代わりに藤壺が出てくる


これはまさに劇場版クラナドの手法
「見続ける夢」を使った告白


劇AIR以前にこういうギミックを使った事はなかったわけで
AIR・クラナドでの「見続ける夢」というモチーフは
出崎に訴えるものがあったのでしょう
かつて、高橋良輔との対談で


「作品選ぶなよ」「出会ったときにどれだけ出来るかが本来の仕事」「雨に打たれてるダンボールの中に子犬がいる、みたいな状況でしょ?」「作品と出会ったということに宿命的なものを感じて、どれだけのことが出来るか」「自分の知らない面が自分の中から出てくるかもしれない」

というような事を言っていたが、
その信念の証と言っていいかもしれない