おねがいティーチャー〜八谷賢一VSあおきえいVS野中卓也

最近見るアニメが無くなって来たので、
視聴範囲を広げる事に。
そんなわけで「おねがいティーチャー」を見る


全体としては良くも悪くも黒田洋介全開だなぁというのが第一印象。
黒田って「物語構造のパターン」というものを熟知してて、
その組み合わせとか王道・その外し方とか
凄く巧いんだよね


一般アニメの主人公でこんなに性欲あるやつも
それこそスクールデイズ登場までいないだろうし、
その一方でハーレムアニメのお約束も維持しつつ
奥様は魔女」もやりつつとテンコ盛り


その一方で黒田の弱点であるダイアローグの弱さも全開
相変わらずパターン化した会話から抜け出せない。
会話をどこまでも計算で作ってしまうのが黒田と言える。
まあ、キャラを自由に動かしすぎると、物語構造が破綻しちゃうわけで
そこは言わば表裏一体である


こういう一長一短の脚本だからこそ、演出家の腕の見せ場となる
このアニメ、なかなか良い演出家が揃っている


喰霊で一躍注目されている「あおきえい
ユーフォーテーブルで活躍する「野中卓也」
こどもの時間の「菅沼栄治
そしてゆる系「八谷賢一


つまり、このアニメは
彼らの黒田脚本との格闘の結果なのだ


では彼らの格闘の結果を軽く見ていこう

あおきえい
あおきえいの演出の特徴はなんといってもカメラの高さの変化による表現
俯瞰・標準・アオリを効果的に使って全体を構成する。


彼の対黒田脚本戦略は「長所を伸ばす」である。
つまり、黒田の持ち味である物語構成の巧みさを、
得意のFIXでのカメラの高さの使い分けで演出している。


硬直化した会話についてはそれを解すではなく、
一種のお約束として処理している。
演劇的と言ってもいいだろう。
「これは作り物の会話なんですよ」というところを
隠すのではなく、開き直っているといえると言える。


・野中卓也
野中卓也はどうかというと、
彼はキャラのリアクション・ボディランゲージをしっかりと描写することで
黒田の弱点を打開しようとした。


もし余裕があれば6話の漂介と水澄の会話シーンの見て欲しい
会話内容は妙に説明的且つパターン通り。
その中で、会話をしながら手を振ったり、歩いたり、
TVアニメにしてはかなりしっかりと会話中のアクションが描写されている。


彼がユーフォーテーブルを活動の場にしているのも
こういった描写の出来る所だからだろう。


八谷賢一
そして、「間」の達人・八谷賢一である。
彼の間の取り方の凄いところは
ちゃんと間で「飛躍」を作れるところにある

例えば現実の会話では、ちょっと会話に変な間が出来たり
逆に食い気味に反応してしまったりする。
そういう自然な不自然さが八谷賢一の演出にはある


ただ、物語構造もかなりゆる〜くなるのも
八谷演出の特徴。
その緩さが個人的には好きだけどw
ずっと焦らされていた主人公と先生が初めてキスする7話に
八谷さんを持ってくるあたり、
井出監督の趣味的にはこっちだったんじゃないかなぁ、とも思う
井出さん自身はどちらかというと脚本家・ライター業がメインの人だしねぇ


そんなわけで八谷賢一ファンとしてもあおきえいに注目する身としても
なかなか楽しめたシリーズだった


最後に作画的な見所も上げておく
・6話の細田直人のところは多分こおろぎさとみの登場あたり
・7話のどんぱちやってるところは志田ただしさんかな
・11話のアバンの屋上の部分は多分恩田さん
・Bパートの屋上シーンの最初の方も恩田さん?目の描き方が一定しなくて面白いw
・13話の最初の方のこおろぎさとみ登場のあたりが岸田さんっぽい
・13話のビーチから先生とお母さんが「トレースして!」っていうあたりまでは明らかに中嶋敦子