おねがいツインズ〜逆襲の井出

おねがいツインズ全話見た


おねがいティーチャー黒田洋介全開だったのに対して
こちらははっきりと井出安軌(とユル〜い仲間達)の作品になっている


簡単に比較すると


・停滞していた人間が加速する物語⇔走り続けてきた人間が立ち止まる物語
・大事なのは「これから」⇔大事なのは「今」
・性欲溢れる主人公⇔禁欲的な主人公


という感じ。
物語構造が非常にしっかりしていた「ティーチャー」に比べて
「ツインズ」の方には極端に言えば物語構造はない
舞台だけが用意されており、その中を登場人物たちが
自由に動き回っているのを眺める、そんな風にいう事も出来るだろう


ティーチャー」では黒田洋介構造主義と戦う演出家という見方を仕方をしたが
「ツインズ」は逆で井出組の自由主義と戦う黒田洋介という見方が出来る


八谷回はもちろん、くるおひろし回も「ティーチャー」に比べて
格段に良い。3話も6話も特に何かが起こる話ではない。
だが、その特別な事が起きない日常の描写はさりげなくかつ大胆
3話で先輩とミーナがマイクに詰め寄る広角のカットとか
素晴らしい。
やってる事は完全にお約束だけど、あれだけ大胆に見せれば◎


また、あおきえいの7話・11話も、八谷・井出・くるおが自由な空気を作っているからこそ
彼のコントロールされたコンテ構成が際立っている。


あおき演出の11話で三角関係崩壊・修羅場というのをやっておいて
続く12話で井出・八谷コンビがいきなりコメディムードに、という
絶妙なリレー。
「シリアスを際立たせるためのコメディ」ではなく
「コメディを際立たせるためのシリアス」という妙味
これぞラブコメではないか


ただこれ、きっとラストに不満がある人も多いんだろうなぁ、とは思う
個人的にはあれで完璧だと思うけど、
やっぱり「ティーチャー」みたいな物語構造的な「オチ」をつけて欲しい
という気持ちも分からなくもない


それでも12話はやっぱり素晴らしい。
晴子というキャラの使い方が特に。
どう見てもギャグ、ファンタジーなキャラとして泳がされていた晴子だからこそ
ラストで視聴者の裏をかける


別に主人公を呼び出すのなんて誰でも良かった。
会長でも先輩でも鈴村でも先生でも誰でもね。
それでも、あそこで「晴子」が主人公を呼び出す事がいわば井出監督の仕掛けた
「悪戯」なのだ。
あそこで晴子を疑える視聴者はいないだろう。


あれは井出さん以外には出来ない芸当だろうなぁ
黒田が主導だったら、晴子をあんなに遊ばせとかないだろうし


黒田について言うと、今回もっとも黒田色が出てたのは8話
8話だけは「ティーチャー」外伝と言ってもいいと思う。
それくらい8話だけ空気が違うので、
もしこれから視聴する場合は意識してみると面白いかもしれません