出崎と紫の上物語

http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20090314/1236966595#c
あたりに対して、
出崎統の言葉を引用しておきます


(前略)
出崎  俺は元々段取りが嫌いな人だから。「映像ってカチンコが見えたら終わりだぞ」
   って、よくみんなに言ってるんだよ。そう言うと、アニメーターはカチンコを知らないから
   「カチンコ」ってなんですか?」っていうんだけさ(笑)。
   
   
    演技に入る前の予備動作を描いちゃいけないんだ。それを全部落とすわけ。
   話もそうだよ。段取りやっちゃったらさ。それだけで無駄な時間を使うし、
   大事な部分まで到達できないんだよ。大事な部分をいっぱい描きたいわけだからね。
   

    それが自分の作劇スタイルだと思ってる。観たい視点から観たい視点へ
   見る人を引っ張っていかなきゃいけない。視点が飛躍した時の段取りは、
   見ている人が自分の中に作ってくれるんだよね。面白ければね。


―― この場面とこの場面の間には、こういう事があったと想像してくれる、という事ですね


出崎  そう。「あったに違いない。だから今こうなんだ」と思ってくれれば、   
   余計な事を描く必要はないじゃない。その分描きたい事に集中できる。
   そういう作り方を極めて………なんて、俺も、今日(劇場版『エース』を)観てきたから
   言えるんだけどね(笑)
(後略)



・まあ、それとは別に、自分の意見を。


>あくまで作中描写の源氏から紫への執着を見出そうとするには描写不足では?


某所でもちょろって描きましたが、
このアニメでもっとも出番が多いのは、間違いなく紫の上です。
毎回物凄い量の台詞がありますね。


GENJI一話の感想にも描きましたが、
「この話のナレーションは中立ではありません」
どの時点の紫の上かはわかりませんが、
この物語自体が、未来からの紫の上の「回想」である事を間違いないでしょう
劇場版クラナドでも取られた出崎お得意の手法です。


そうすれば


>源氏が紫を手篭めにするという前提


の正当性が分かってもらえるでしょう。
未来の紫の上の回想なのですからね。


つまり
>紫の上が源氏にとっての運命の女である


ではなく


『源氏が紫の上の運命の男である前提で描かれた物語(回想録)』なのです


そうすれば、もうお分かりでしょう。
本当に紫の上に執着しているのは誰なのか。
あるいは六条にいいようにされているのは、
葵の上のデレにきゅんとしちゃったのは、
夕顔のような女性に惹かれたのは、



そう、それは源氏の革を被った……