ヤンデレとアニメの歴史

まずはこのブクマコメから
>lisagasu 少女漫画的ヤンデレは、自分が病みたいから勝手に病む、
>あるいは本人にとって普通の表現が傍目には病んで見えるのであって、
>俺を愛するゆえに病むというヤンデレ萌え男性の夢とは違う流れかと思います。


そうです。
なので、少女漫画的ヤンデレを男性側から捉えなおすという作業が行われたのです。


それを行ったのが
男性社会であるアニメ制作業界、その中の出崎統、あるいは幾原邦彦・星川孝文だった
というのが今回のお話。



・今回のアニメの旅の経路
哀しみのベラドンナ出崎統→おにいさまへ→ウテナ→ゲーム版スクイズ


アニメ史的にヤンデレを追っていくとまず行き着くのが
哀しみのベラドンナ」です。。


子供向けとしてスタートしたアニメーションを成人向けにシフトしようとした
「アニメラマ」という映画シリーズがあった。
哀しみのベラドンナはその3作目で、1973年封切。


「ジャンヌ」というヤンデレの物語で、
特にジャンヌが悪魔と交わるシーンはアニメ史に残る圧巻の映像である。


それはともかくとして、この「哀しみのベラドンナ」に大きな影響を受けた一人が
出崎統である。
その影響もあってか、出崎は「エースをねらえ」で「少女漫画は心理描写では少年漫画の先を行っている」
と思ったという。
劇画とギャグが大好きな出崎の中で明らかな変化が起きていたんだと思う


さらに数年後の1979年、劇場版エースの直後、
ベルサイユのばら」の後任監督となる。


この出崎が監督となった回、第19話「さよなら、妹よ」
これが、次の大きなヤンデレポイント。
母親の陰謀でロリコン公爵に餌食になりそうになり、少女が発狂する回。
スクールデイズの、言葉が発狂するところと、
飛び降りるところは間違いなく、このベルばら19話の影響でしょう。
是非見比べてみてください。
いわゆる「レイプ目」のさきがけ的な演出もありますし。


さらにその後、出崎統がほぼ現在の形のヤンデレを作った作品があります。
それが「おにいさまへ…」です。
1991年の作品。
友達を軟禁しようとしたり、拒食症になってみたり、
カッターで人を切りつけたり、とやりたい放題w
ヤンデレ属性が3人くらいいるというのも凄い。


介錯と久米田が「おにいさまへ」ファンを公言してますが、さもありなんという感じ。


さて、この「おにいさまへ…」の影響下に「少女革命ウテナ」が作られる事となる。
ウテナの1話はかなり「おにいさまへ…」を意識して作られているし、
これも見比べると面白い。
そして、ウテナの15話「その梢が指す風景」へと繋がる。


この話の梢は相当ヤンデレってる。
ヤンデレ好きなら必見の話数だろう。


(ちなみに、脚本家の榎戸はヤンデレ的な「愛する人のためなら手段を選ばない女」を
「ヤクザ女」と呼称し、好んでいた。女性声優陣には総すかんを食らっていたがw)


この話数の絵コンテ・演出こそがゲーム版スクールデイズの監督の星川孝文である。
スクイズヤンデレについてはもはや説明の必要はないだろう。


その他、上記の介錯の「神無月の巫女」とか、
ウテナの影響を感じる「舞HIME」なども、この系列のヤンデレ達の作品だ。


そんなわけで、これらの作品のヤンデレについて言えば、
「なぜヤンデレに惹かれるのか」の答えは
出崎統の演出が最高だから」としか言いようが無い。