作オタなのに物語語っちゃう〜エンドレス段取り
エンドレスエイトについてなんですけどね。
アニメンデルさんのところでコメントしたので、それ絡みで
(http://d.hatena.ne.jp/ch3cook/20090726)
まず、その前段階として、アリストテレスさんという人がいるんですよ。
色んな研究してた昔の人なんですけど。
この人の本で「詩学」という劇(特に悲劇)について書かれた本があります。
その中で「劇とは、はじめがあって、なかがあって、終わりがあるもの」
という定義が出てきます。
まあ何のこっちゃ?って感じですけど、
起承転結をもっと一般化したものと考えると分かりやすいかもしれない。
はじめ → なか → おわり
と、これが基本的な劇の構造というわけです。
俺がよく言ってる「段取り」というのはこの「なか」の部分の事です。
劇では「なか」を通る事によって、終わりに到達できます。
逆に言えば、「なか」を通らなければ、終わりには到達できない。
そこをひっくり返したのが出崎統。
「なか」をすっ飛ばして、「はじめ」と「おわり」を直接繋いでしまう。
あるいはウテナの「影絵少女」も「なか」をすっ飛ばすための
一つの手段ですね。
具体的には出崎だと劇クラナドはわかりやすい。
導入部分の後に、パッと未来の雨に打たれてる朋也のシーンになりますよね。
あれはまさに「なか」をすっとばしている。
さて、このアリストテレスさんの劇構造を使って
エンドレスエイトを分析してみましょう。
この話、そもそも「はじめ」が足りないと思うんですよ。
1万5千何回かループする「はじめ」、
つまり、「最初のループ」の話ともう一つ、
「長門が始めてループしていることに気がついた話」=二回目のループ
の回がない。
ひょっとしたら、ちょっと動揺してる長門が見れるかもしれないのに。
そんなわけでエンドレスエイトという1万5千何回かを分析すると
はじめ(ループの1・2回目)→なか(ループ3回目以降から最後の1回前まで)→おわり(最後のループ)
となるはず。
ヤマカンが「2回が限度」とか言ってたけど、
アリストテレスさん的に考えると
4回完結(1・2回目とn回目と最後)が美しいかな、とも思う
でも、「段取り」のプロ集団・京アニは違います。
「段取り=なか」の部分を執拗に繰り返します。
今のところ、エンドレスエイトという物語は「段取り」しかやってません。
「はじめ」をちょろっよやった後は
ずっと「なか」しかやってませんからね。
エンドレスに段取りが続くアニメ
それが京アニの段取りの粋を集めて作った
エンドレスエイトなんです。
これは凄い事なんです。
きっとch3cookさんをはじめとする段取りマイスター達は
こういうアニメを待っていたんです。
きっと
以下蛇足
さて、もし「段取り」嫌いの出崎がやっていたらどうなっていたか。
妄想してみた。
まず、ループ1回目を軽く見せてから、シーン切り替えて、最後のループを見せる。
そこからカットバックでループ1回目に戻って、さらに2回目のループに突入した瞬間を見せる。
その後、再び最後のループに戻ってループが終わる瞬間を見せて終わり。
こんな感じの全1話で終わるね、多分。
いや、根本的にSOS団が旅に出るか、やっぱり。
まあそれは別のお話。