入門作画オタク〜読解編〜その3

もはや読解編なのかなんのかわからなくなってきましたが、
アニメの作画を語ろう・井上俊之
を読んで行きましょう。


小黒 「アニドウ」の紹介記事ですね(注4)。
井上 うん。ここに「FILM1/24」の誌面も掲載されているでしょ(注5)。そこに、小田部羊一さんの画が載っていて……(注6)。この小田部さんの画にも凄く惹かれた。ここに載っているページの続きが読みたいと思った。「FILM1/24」という本に、俺の知りたい事がぎっちり詰まってるような気がしてね。凄く手に入れたかったんだけど、当時の俺には、手に入れる術がなかった。

さて、早速脱線しそうなネタ・『アニドウ』ですw
といっても、さすがにアニドウについては、にわか作画オタクの俺も良くは存じません
なので、アニドウについては
http://www.anido.com/index-j.html
ここを見ましょう。
端的に言えば、「アニメーターによるアニメ同好会」って感じですね。
http://www.anido.com/html-j/step-j60.html
バレエを踊るもりやすじ先生wwww)
それから3、4年経って、上京する前に、アニメアールの毛利和昭さんのところに遊びに行った事があってね。毛利さんがその「FILM1/24」を持っていたんだよ。
サラっと行きたいところですが、アニメアール・毛利さんの名前が出てるので補足。
というのもアニメアールは関西の会社なんですよ。
なので、大阪出身の井上俊之さんはアニメアールを見学に行ったんでしょうね。
この頃のアニメアールはまさに全盛期という時期ですし、井上俊之さんがアニメアールに行っていたら…
なんていうのも夢のある妄想ですね。

井上 いや、アニメならなんでもいいわけじゃなくて、俺が反応するアニメは、その頃からはっきり限定されていてね。「アニメージュ」で、大塚さん達が関連した記事を覚えて、関わったスタッフの仕事を、あれこれ観ていくわけ。その頃は、よく、東映長編を夏休みなんかにTVで放映していたから。そうやって確認しながら、どんどん追いかけるべき人を限定していったんだ。「あ、この人は『ホルス』に関わっているけど、自分が惹かれている部分には貢献していないんだな」とね。
〜略〜
井上 そうやっていっぱい観て、「これのこのカットがいいのは、きっとこの人だろう」と想像したんだよね。いっぱい観ると、よいと思った作品に共通したスタッフが参加している事が分かってくるじゃない? そうやって推理を重ねつつ、「きっと、この人とこの人が、俺の好きな部分を描いているんだろうな」って。

ここらへんは作画オタクになるなら必須の行動ですねw
この「推理」自体が作画オタクの能力みたいに思われる時もありますが、
推理はあくまで手段ということも忘れない方がいいですね。
自分の好みを掴むための手段
井上 大塚さん、宮崎(駿)さん、小田部さん……あとは、森やすじさん。それから小松原一男さんと……劇場版『銀河鉄道999』って何年だっけ?
小黒 1979年の夏ですね。『コナン』の次の年です。
井上 じゃあ、その時に金田(伊功)さんと友永(和秀)さんも知ったのかな
ここで金田伊功友永和秀コンビの登場!
この瞬間に劇場版『銀河鉄道999』を見たことない人は今すぐ見てください!
ほとんどのレンタル屋でおいてるはずです。
時間的にもすぐ見れるはずですしね。

見ましたか?
では次
小黒 『カリ城』が1979年の暮れにありますけど、それは井上さんに影響していないんですか?
井上 うん。それはもうあんまり大きな事じゃない。大塚さん達がやったら素晴らしいものになる、っていうのは当たり前の事だから、「相変わらず素晴らしい」というふうに観てて(笑)。むしろ、テンションが落ち着いてしまったな、とすら思ってた(苦笑)。
小黒 確認しておきますけど、それは映画としてではなくて、アニメーションとして、なんですよね。
井上 あ、勿論、作画の事ですよ。『カリ城』よりも、俺のアニメーター心をくすぐったのは、むしろ劇場の『999』。友永さん達の執着心や活気を感じたなあ。
さあ、『カリ城』を見ましょう。
カリ城くらいになると、多分ほとんどの人が見てるんでしょうね。
今見るなら、井上俊之さんのように
(コナン⇒)劇場版999⇒カリ城
って風に見ると、当時のアニメ界の風を感じれるかもしれませんw

井上俊之が尊敬する友永さんの作画を見るには何を見ればいいか。
ここは同じWEBアニメスタイルの『もっとアニメを見よう』の方を参考にしましょう。
http://www.style.fm/as/04_watch/watch04_4.shtml
井上 まあ、友永さんのよさが発揮されていたと言えるのが、『新ルパン』だろうね。量もたくさんやっているし。
小黒 で、どの話ですか?
井上 全部ですね(笑)。特に挙げるなら、「ベネチア超特急」(8話)か。それと「マダムと泥棒四重奏(カルテット)」(92話)はマイナーかなあ。
〜中略〜
小黒 『999』と『カリ城』の間にも、『新ルパン』をやっているんだ。
井上 俺は初期のオープロ時代の友永さんの『ルパン』はどれも好き。テレコムに行ってからも友永さんのよさは失われていないけど、オープロの頃は友永さんのよさがストレートに出ている。「ベネチア超特急」もいいけど、あと、前半と言えば……。
小黒 「カリブ海の大冒険」(14話)ですね。
井上 そうだね。「カリブ海の大冒険」は1本丸々原画を描いている。
小黒 「必殺 鉄トカゲ見参」(25話)もいいですよ。
井上 あと「父っつあんのいない日」(98話)かな。
『新ルパン』通称赤ジャケルパンも相当見るべき回が多いのがわかりますね。
新ルパンもレンタル屋で借りやすいアニメだと思うので、
劇場版999を見て、ビビっときた人は見ていると良いでしょう

ついでに井上俊之さんが語る友永さんの魅力も引用しておきましょう。
井上 友永さんは、奔放に描く人のようでいて、ベーシックな部分はちゃんとしているんだよね。パースなんかもしっかりしている。メカなんかも三点透視法で立体的に気持ちよく描いてあるんだよ。もしかしたら、アニメに三点透視を初めて持ち込んだ人なんじゃないかな。金田さんのものは感覚的なんだけど、友永さんの三点透視はちゃんとしてるんだよね。

今石 金田さんは本当に勘ですからね。

井上 うん。友永さんは理屈も踏まえながら描いている。大塚さん達が、パースを意識して描くような事はそれほどなかったから、アニメの中に初めて意識的にパースを持ち込んだ人のような気がするんだよ。特に『999』のアルカディア号なんかは、非常に立体感があって、巨大な感じがよく表現されていた。パースの理屈も踏まえないと、手前に飛んでくるカットの気持ちよさはなかなか出るもんじゃない。

今石 やられてしまう飛行機も細かいんですよね。

井上 そうなんだよ。アニメを緻密にした最初の人でもある。大塚さん達だと、緻密である事はあまり目標ではないんだけど。原画の密度を意識して上げたという意味では、友永さんが初めてに近いだろうね。それにエフェクトアニメーションって気持ちいいなあ、と意識させられたのも友永さんからだろうね。金田さんも勿論、気持ちいいんだけど、リアルで、それでいて気持ちいいというのは、友永さんかな。特に「死の翼アルバトロス」(145話)の空中戦での、ミサイルの爆発の気持ちのよさ。最終回「さらば愛しきルパン」(155話)での新宿の爆発。
さあ、これで友永マニアの仲間入りだ!
つづく
(つかこれ、井上俊之編だけでその20くらいまでいくんじゃね?)
(まあいいじゃん、書き溜めしてるんだし。)