会長はメイド様!20話!〜対時間あたりの情報量の効率化について


すげぇぞ会長はメイド様20話!
ここんところの「フットマン編」がイマイチだったってのもあるが!
あんなのに2話も使うなよ!
もっと効率良く1話に収めろや!


というわけで、桜井弘明コンテの文字演出連発回ですよ!


ここでさらっと文字演出をまとめてみましょう。


1、エフェクトとしての文字演出
2、強調しての文字演出
3、補助・省略としての文字演出

大きくわけてこの3つがある。
例えば、文字演出として有名な新房・シャフトだが、
彼の文字演出は1番に類するものが非常に多い。
なぜならば、彼の文字演出の源流が金田・山下フォロワーが多用した

みたいな「エフェクト」にあるからだ。
(この「さよ子party」には何の意味もない。黒板の落書きのように)


新房の話は今回のメインではないので省くが、
この「エフェクト」としての文字演出は一番目にするものだろう。
メイド様20話でも例えば

これなんかは大体的に「エフェクト」として使っている。
爆発はしないけど、爆発並みの衝撃を作画リソースを使わずに表現出来る、
非常に効果的な演出だ。


だが、メイド様の文字演出はこれだけではない
例えば↓

この「近所のお兄ちゃん」というのは台詞でも言っている。
つまり、エフェクトではなく「台詞の強調」なのだ

これなんかも同様。


台詞というのはアニメでは「音」でしかない。
もちろん「音」のインパクトというのもあるが、
「文字」=視覚的なインパクトでないと伝わりにくいものもある。


例えば上の「近所のお兄ちゃん」でいえば
音的には「私のお兄ちゃん」と「近所のお兄ちゃん」にそこまでのインパクトの差はない。
ところが文字にすると、この「近所」という漢字が効いてくる。
一気に他人行儀な印象を与えられる。
音の特徴と文字の特徴、その両方を兼ね備えるための演出が
この「強調としての文字演出」だ。


しかし、このメイド様20話でもっとも注目するべきはそれでさえない。
「強調としての文字演出」にまぎれてさらなら演出が隠れている。
それは例えばこれ

一見、ただの「台詞強調」のように見える。
だが、違うのはこの「なんであんなウソつくの〜〜!?」は
台詞ではない!
文字でしか出てこないのだ。


これが巧い。
アニメというのは心情を「音・声」で表現するのが非常に苦手ある。
人間はしゃべっている時にも頭の中では考えているわけだが、
「音・声」ではそれを表現することが難しい。
(その点漫画は文字なので心情と台詞両方を書けば表現出来る)


もちろん、後で説明したりすることもできるが、
それは時間がかかる。
そう「音読」は時間がかかるのだ。


アニメでは難しい「心情・考えの表現」を可能にし、
かつアニメの急所である「時間」を大幅に短縮するこの手法、
まさに演出のマジック。
このマジックがなければ、20話に2つも話を盛り込むのは無理であっただろう。
いや、普通の演出家ならばそれぞれを1話づつ使ってやったはずだ。


他にも



全部台詞で説明してたら時間がかかるところを
さらっと文字にまとめてる部分は多数ある。
文字演出の一つの見本市として
観てみてはいかがかな?