『魔法使いTai!』と『ファンファンファーマシー』そして


合わせてみるとさらにおいしい、と思うようなアニメが時々ある。
その最たる例の一つがこの
『マホTai』と『ファンファンファーマシー』だ


この二作は共通項の多い作品。


・シリーズ構成が小中千昭
・キャラクターデザインが伊藤郁子
・主人公の声優が小西寛子


制作会社が別なのにも関わらず、
ここまで主要スタッフが被るのも珍しいがさらに、
監督は「佐藤順一」と「貝澤幸男」の両監督。


東映の同期であり、同じく「とんがり帽子のメモル」で頭角を現した間柄。
似たスタッフでの同門対決というわけだ。


小中さんという一種の特殊脚本家について。
小中さんはアニメ業界よりも実写(特にホラー)の方が
知名度が高いのではないかと思う。
その小中さんが、アニメでは魔法少女モノをやっているという不思議。


もっとも、魔法・オカルトについても

小中「自分はホラーの人間で、オカルトの人間じゃないんですけど、
当然、基礎教養としてオカルトの知識をもっている」

というわけで、
オカルトから長らく離れていたアニメの魔法少女モノに
オカルト的な魔術の要素を取り入れたというのは大きいだろう。


それと同時に、
「マホTai」と「ファーマシー」で佐藤・貝澤という
子供向けアニメを作ってきた監督と仕事をすることで、
後の「ウルトラマン」での仕事につながったという一面も見逃せない。


「ちょっとリアルな魔法の魔法少女モノ」
それがまず「マホTai」と「ファーマシー」のインパク


この二つの作品の要素が合流して成功するのが、
おジャ魔女どれみ」かもしれない。
小中さんが持ち込んだ「ちょっとリアルな魔法」というのは
非常に大きな影響があった一方で、
やっぱり小中さんは「女の子向け」をやるには
ちょっとクールでダークだ。
(小中本人はダークを抑えているつもりらしいが)
(その後、ウルトラマンガイアで男の子向けでは成功している)


「マホTai」の佐藤順一
「ファーマシー」でローテ演出家として参加していた五十嵐卓哉の師弟が
どれみで合流するというわけだ。
どれみの1話は小中的なオカルト(とくにファーマシー1話)を感じさせつつも、
女の子向けの温かさを感じる仕上がりになっている。


そしてさらに、どれみからプリンセスチュチュ


小中さんで言えば、
アニメでもっとも評価が高いであろう「lain
そして「ビッグオー」へとつながっていく。
デジモン以降は子供向けアニメをメインでやることもなくなる。


1996〜2002くらいまでのお話。
小中千昭のような脚本が子供向けアニメで活躍しちゃうなんてのも
90年代末期〜00年代初期のカオス期ならではだよな〜