スタードライバー17話の構成・意外性コントロールの巧さ


スタドラの17話の何が良かったって、
「タウ銀河ミサイル」にびっくりしてしまったことです。
ああいうのは想定内だったはずなのに、
実際に見た時に「うお!」ってなって
意外性にときめいてしまった。
良く出来ている、と見返していて思う。


「ギャグ回」とか「シリアス回」とかって言葉がある。
元々は2クール以上、特に4クール以上の長期シリーズにおいて、
マンネリを防止するために
構成上挿入されるストーリーとして、
「ギャグ回」や「シリアス回」というのが活用された。


しかし、1クール深夜アニメが増えるにつれて、
その役割は変わり、水着回・温泉回などと同じく
「必ず入ってる定番セット」となっていく。
別に1クールならば、本筋のストーリーをやるだけで手一杯であり、
わざわざ入れる必要はないのだが、
そういう構成のアニメが非常に多い。


それは、そういう目的を一つに絞った方が「わかりやすい」というのがある。
ただ単に視聴者にとってわかりやすいというだけではない。
プロデューサー・スポンサーの類にも説明しやすいし、
何よりも、「各話脚本家」に対して説明し易いというのは
ストーリー構成が作品のクオリティをコントロールする上で重要だ。
各話脚本家同士の連携失敗で、
各話の繋がりが悪くないということの対策にもなる。


ただし、話数単位で見た時に、単調になるというのは否定できない事実だ。
特に、ライト層も含めてアニメオタクは
「今回はギャグ回だな」とかそういう見方を
意識・無意識にしてしまうので、
わかりやすい反面、ありきたりと感じてしまうこともある。
端的にいえば意外性の欠如。


しかし、仮にシリーズ中のほとんどの話数の脚本をシリーズ構成が書くことが出来るならば、
そこに拘る必要はなくなる。
スタードライバーはそこが作品の魅力につながっている。


例えば、16話のアバンはヘッドから入っている。

しかも、病院とベッドという「シリアス要素」付きだ。
前回、まるで道化のように敗北したヘッドを出して置いての、
シリアスな始まり。
そこに、これまで名前しか出てこなかった
「レオン・ワタナベ」らしき人物の登場

意外な紳士っぷりに
アバンからは「シリアス回」の匂いがぷんぷんする


というところからのOP明けの



(それにしてもルリちゃんはよく物語から脱落しないなぁ、「けいおん」のメガネ並みのしぶとさ)


ここで、新キャラ二人を「ギャグ」で見せておく。
これが重要。
シリアス→シリアス
ではなくて、
間にギャグを挟むことによって、前後のシリアスを引き立てる。
後のシリアスというのが
バニシングエージのクーデター
そしてなによりも

この人のマドカ評。
レオンワタナベに続き、ミセスワタナベもシリアスさを全面に押し出す


そこからさらに、ニチさんの新曲を挟んでの

このピンポイントコメディリリーフ
そこからまたミセスワタナベ(シリアス)に戻して

タクトは人を殺すのか、それとも殺さないのか
という話題に。


日5、そしてその前身の土6で幾度となく出てきたこと話題。
人を殺すことを正当化出来るのか出来ないのか。
「殺さない」という綺麗事がただの綺麗事でしかないのか、
それとも説得力のある理屈を持ってこれるのか。
TBSのこの枠だけにそういうことが頭をよぎって
通り過ぎたころに、タクトが、「スタードライバー」におけるその答えをだす
その答えとは………


これかよ!
流派東方不敗か?
それとも科学忍法火の鳥か?
金田伊功ラッキーマンか?


いや、さすがですわ。
シリアス→ギャグ→シリアス→ギャグ→シリアス
という切り替えの軽快さ。
シリアスがギャグを引き立て、ギャグがシリアスを際立たせる。
こういうのもテンポの良さだよね。
堪能いたしました。