茶番系アニメ〜大橋誉志光監督〜
ストライブさんの
http://d.hatena.ne.jp/str017/20111101
とか
その元になってる、イズミノさんの
http://d.hatena.ne.jp/izumino/20111027/p1
とかにインスパイアーされて
まず、目に飛び込んできたのは
「ギルティクラウン」「セイクリッドセブン」「幸運」
という3つのワード
俺の思考はこれらのワードから一つのアニメを導き出した
そう
「ギャラクシーエンジェル」
だ。
多くの人は気がついたであろうが、
ギルティクラウンの監督である、「荒木哲郎」監督
セイクリッドセブンの監督である「大橋誉志光」監督
そして「幸運」という要素から
「ギャラクシーエンジェル」を連想したわけだ。
荒木監督が頭角を現したのは、
ギャラクシーエンジェルの演出・コンテであり、
大橋監督はそのギャラクシーエンジェルの監督である(3人の中では印象が薄いが)
「カードキャプターさくらのスタッフが贈る美少女アニメ」などという、
結果的には詐欺も良いとこのアオリ文句で始まったギャラクシーエンジェルが
あのような形になったのは、個性的な各話演出家たちに加えて、
「CCさくら」の監督である浅香監督よりも、
新要因の大橋監督の方にあるといえるだろう。
荒木監督も、その後の監督作品には大橋監督の影響がちらほら見える。
そこで、「茶番系アニメ」の系譜として大橋監督を追っていこう。
この「茶番」というのは、まったく貶しているわけではありません。
「ご都合主義」を前提として進んでいって、
それを隠すのではなく、逆に強調することで魅力が増す類のものを俺はこう呼んでいます。
アニメに限らず、例えばアメリカンプロレスの「WWE」なんかは
究極の茶番系ストーリーですね。
みんなが、あれは作りモノだと分かっているわけですが、
それを承知の上で見て楽しむ。
これはハマるとめちゃくちゃ面白い。
イズミノさんの
『「カモがネギしょってきた」ような幸運』
とか、あるいはストライブさんの展開分析とか
とにかく、ここで名前が挙がっているようなアニメというのは
「作り手基点」ですべてのストーリーが成り立ってるものです。
では、大橋監督の「茶番系の粋を集める」経歴を見ていきましょう
大橋監督というのは、アニメーター出身の監督であり、
今も原画だけの仕事も結構やってますね。
そのアニメーターだった大橋さんが、演出に関わるようになったのが
新房監督の「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」
です。
スタートから新房監督作というあたりに、
選ばれし茶番魂を感じますねw
ヤマモトヨーコという原作も、非常に茶番度が高いので、ダブルで茶番。
おそらくヤマモトヨーコ参加は、新房さんの初監督作品である
「メタルファイターMIKU」での繋がりじゃないかと推測されます。
MIKUも茶番度高かったなぁ。
新房さんは最近でも「化物語」とか「まどかマギカ」が茶番全開だったのは記憶に新しいですね。
その後、演出家としても活躍しだした大橋監督の仕事として大きなものになるのが
1999年の参加作品。
一つは谷口吾郎監督の「無限のリヴァイアス」
イズミノさんも言及している通り、
コードギアス・谷口吾郎監督は、「茶番系」の代表みたいなもの。
大橋監督は、リヴァイアス以降多くの谷口監督作品の常連となります
「谷口軍団」の一員と言ってもいいんじゃないかな。
リヴァイアスの茶番っぷりは今更いうこともないでしょう。
黒田洋介という「方程式でストーリーを作る」脚本家と組んでいたというのも
見事な茶番に華を添えていました。
もう一つは大地監督の「今、そこにいる僕」および「十兵衛ちゃん」への参加。
大地監督についても説明は不要でしょう。
ギャグモノというのは勿論作りモノ、本当の意味での茶番なわけですが、
大地さんはシリアスモノでも、その茶番感覚をそのままにアニメを作ってしまう。
「松谷修造」なんていう名前を主人公に付けちゃうあたり、
さすが大地監督!
これでグロありシリアスアニメで、オチがあれなんだからすげぇよ。
さらに翌年の「まりんとメラン」もあわせて
「リヴァイアス」
「今、そこにいる僕」
「まりんとメラン」
と世紀末の茶番系欝アニメの代表作に3本も参加しているんだから凄い!
この3本は「勘違い→最悪の展開」みたいなのを
すげえ重要な場面でも使ってくるからね。
「カモがネギをしょってきたと思ったら、食べた後に配送間違いだと言われた。
高額の賠償金を請求され、払えず身売り」
みたいな展開なぁ
さて、そんな茶番系アニメ(「タイガー&バニー」17話、ビッグオーの片山監督のアルジェントソーマとかも)
で修行を積んだ大橋監督の監督デビュー作品が
「ギャラクシーエンジェル」
1期の1話とか、マジで名作だと思うよ。
大橋監督の代表作一本あげるとしたらコレ。
「茶番をどう作品にするか」が詰まっている。
そして、この茶番演出の技術は確実に荒木監督に受け継がれている。
荒木さんというと、やっぱりギャラクシーエンジェル後半の
ハイテンション・ギャグ演出が特徴なのかな、と数年前までは思っていたんだけど、
荒木さんの監督作なんかを見ると
「デスノート」にしろ(そういえば、デスノートもイズミノさんの記事で言及されてましたね。)
「学園黙示録」にしろ
どう見ても、茶番系本流なんだよね。
そういう意味では、大橋さんからの流れというのは意識しておかなきゃいけないところ。
そんな感じで、荒木監督の「ギルクラ」の出来に納得しましたし、
「セイクリッドセブン」や「コードギアス」が引き合いに出されるのも納得だな、と。
荒木監督にGA4期を求めるのが間違いで、
出てくるものはGA1期の15話「落としモノぽとふ」なんだ、
ということを肝に命じなければ。
PS
セイクリのいのまたキャラ原案もナイスなアイデアだが、
ギルクラも、加藤裕美(男)をキャラデザにするというのがなかなかナイス。
後期「名作劇場」のエロ担当が、まさかまたこんなに活躍するとはね!