銀河鉄道の夜とピングドラムのための走りがき


●そもそも銀河鉄道の夜とは何か。
それは宮澤賢治が「最愛の妹」を亡くした後に
その現象を描いたものである。
これが基本。


賢治は妹の死後、北方へ傷心旅行を行う。
樺太鉄道を使い、「北極」の近くまで行く。


なぜか?
それは彼が、「北極」こそが「天上」にもっとも近い場所だと
考えていたからだといわれている。


ただ、後述の通り、彼はキリスト教徒の天上を「南十字星」だと
考えている。
では、天上にもっとも近いのは「北極」ではなく「南極」なのでは?
という無粋な考えだろうか。


●「さそりの火」
これはそのまんまか。
リンゴの赤にも通じる。
サソリ座は銀河の中心に近いことも留意


●サザンクロス(南十字星)と石炭袋
サザンクロスはキリスト教徒のための天上
石炭袋は輪廻のための天上


●リンゴ
タイタニック組の登場と同時に出てくる「リンゴ」
ピンドラ1話の男の子たちの会話もこのシーンでしょう。


「リンゴを分け与える」という描写は、
原作の方には登場しない。
アニメ版では、一つのリンゴを「分身」されるように
分ける描写がある。
幻想的な描写だが、これは注目に値する。
直感的には、アニメ版の脚本家の別役実の表現方法のように感じる。
彼は、賢治の大ファンであり、かつ、不条理演劇の第一人者でもある。



●赤
サソリの火の「赤」とリンゴの「赤」。
原作版では
「カムパネルラの頬は、
まるで熟した苹果のあかしのようにうつくしくかがやいて見えました」


アニメ版では、カンパネルラは「赤い猫」のデザインになっている

そしてジョバンニは「青い猫」
青と赤はそのままピンドラにも通じる。


ブルカニロ博士とサネトシ先生
原作第3次稿にしか登場しないブルカニロ博士
胡散臭さ満点のマッドサイエンティストだが、
非常に好意的に描かれているので、良い人かと錯覚する。


原作の第4次稿ではその存在は完全に抹消されている。
なぜ、抹消されたのかについては諸説ある。
だが、賢治に抹消された博士の思想はサネトシ先生とほぼ同じだ、
と俺は思う