ラブライブ8話と出崎を継ぐものと電話


ラブライブ8話が凄く面白かったが、
平日はいろいろと忙しくて書く暇がなかった。


何が素晴らしいって、もうみんな言ってると思うけど
この生徒会長のストップモーションによる振り向き!

ですよ。


ああ、いたんだよ、俺の出崎を継ぐものが

ストップモーションの振り向きといえば出崎監督の十八番中の十八番。


2013年になって、ついに出崎監督を継ぐものが現れたとは
本当に喜ばしいことです。



この振り向きのシーンの素晴らしさはもはや説明する必要はないだろうから、
もう一つ気になったシーンについて書いておく。
それは

この電話のシーン


ついにここまで来たか、と。


アニメが映像による演劇である以上、
「コミュニケーションツール」というものが
非常に重要である。
その代表格が電話だ。


この電話に関する演出について、パイオニアだったのが
出崎統監督だった。
例えば、劇場版エースのこれ

アニメ夜話ではオタキング
「電話で喧嘩して会って仲直りというのが一般的だったが、
 出崎はその逆の、会って喧嘩して電話で仲直りというのをほぼ初めてやった。
 それはその後、トレンディドラマで流行ることになる」
というようなことを言っていた。


出崎さんはその後、この電話というギミックを得意技の一つとなる。
例えば「おにいさまへ・・・」の

出崎手法の一つである画面分割とのあわせ技もある。



出崎さんは電話というものを使い続けた。
そして、時代が流れ、携帯電話の登場となる。


しかし、出崎さんは携帯電話を積極的に劇中で使うことはなかった。
おそらく、出崎さんは携帯電話の実感がなかったのだろう。
自分が実感していないものを使わなかった。


携帯電話の名手としてはその後、星川孝文さんが登場する。
ゲーム版スクールデイズを経て、
星川純度100%のCandyBoyへ。

画像を使ったり

メールを打ってみたり。


星川さんの最近作のはがない2期7話でも


新たな携帯演出を連発していた。



しかし、これを見て思ったのは、
星川さんの演出は常に「ガラケー」なのだ。
既にかなり普及してきたスマートフォンや、
スマートフォンならではの機能は出てこない。


次の「電話演出のパイオニア」が求められていた。


そして、このラブライブ8話である

この複数同時通話は、スマートフォンじゃないと出来ない。
スカイプなどのアプリを使わないと、
「Q2ダイヤル」等の特別な方法を取らないといけない。


ここに、技術革新がある。
今まで、電話演出は2人の間しか出来なかったものを、
複数人でも可能にした。
そこに出崎さんの技である、画面分割も合わせ技で使用。
16:9のビスタサイズであれば、
画面が横長であるので、画面分割で3人以上出すのも
レイアウトの座りが良い。


この発明は、作劇にも大きな変化をもたらしていくと思われる。
離れていてもコミュニケーションを、複数人で取れるとなれば、
今までにはないシチュエーションを作ることを可能にもなってくる。


アニメという未開の地を開拓していく演出家たちに乾杯!


[2014年5月19日]
ネタ元と言われるグリーの画面分割グループ会話見ましたが、
確かに画面分割の出るタイミングはそのまんま。


出崎さんの画面分割は映画グラン・トリノがネタ元と言われていますが、
今の海外ドラマでも画面分割の流れは生きているんですねぇ。