ラブライブ11話で分かったこのアニメのメタ構造


ラブライブは11話も相変わらず素晴らしかった。
そしてショックも大きかった。


まずは演出的な話。
やはり京極監督のコンテのセンスが抜群。



11話について言えば、「レイアウト」で表現している部分も多くて
これまで以上に、言葉以外での表現にこだわっているように見えた。


レイアウト芸という意味で非常にわかりやすかったのは


ことりを隠す。
ことりの表情を視聴者に見せないレイアウト遊びと
ことりの「隠し事」というメタファーの両面。

ことりの隠し事としては

「隠し事をしている人間には影を」は実写でも使われる基本的な表現。
だからAパートの終わりでも

ことりは暗所にいる。


この暗所という表現はことりだけにとどまらない。

例えば、穂乃果と鏡のシーン

冒頭にまず鏡を何気なく出しておいて
ライブ直前のシーンへの布石としている。


同じ鏡のシーンでもこの二つのシーンでは意味合いが変わる。
ライブ直前のシーンでは、
はっきりと「もう一人」の自分
弱っていない自分・がんばれる自分へのスイッチとして
この鏡が機能している。
明るいところにある鏡と

暗い更衣室から出てくる穂乃果。


そう、穂乃果もまた、みんなに隠し事をしているから、
彼女は暗所から出てくる。
Aパートのことりと同じ表現が穂乃果にも使われているのだ。

上手下手(かみてしもて)で言えば、鏡が上手。
明るい自分が上手。隠し事をしている暗い自分は下手。


暗い自分から明るい自分へスイッチする。
だから次のシーンで穂乃果は上手に立つ

ここは色の表現も面白い。
リボンの色と背景のロッカーの色がシンクロする。
このリボンとロッカーの赤は穂乃果の赤。情熱の赤。
そして血の赤でもあるのだろう。

それに対するは

心にモヤモヤを抱える
"青"と"緑"の二人。
暗さを抱えた青と緑を黒板の黒味掛かった深緑で表現している
この場合では二つの意味での「海」もこの黒板に表現されていると見ていい。

赤については、Aパートでも

こういうカットがあって、この赤いロッカー本当にいい仕事をしている。
ニコ先輩もまた"赤"というリーダーの色を背負う女なのだ。


と見ていくと本当に、よく表現されている。
特に”色”はアニメでこそ映える重要な要素。
(実写ではあまりビビッドな色は目立ちすぎる)
まさに総動員で演出している。



そして、ストーリー構成的には気になる部分がある。
それはこれだ

何気ないワンカットだが、これには驚愕した。
これを見て気づいたのだ。


そう、OPこそがラブライブであるということに


そして、直感してしまった
「ああマズイ、これなら1クールでこのアニメの物語を終わらせられてしまう」と


放送枠が1クールだという噂は聞いていたが、ある意味安心していた。


「これだけ風呂敷を広げたものを、そんなに簡単に終わらせられるわけない」
「絶対に分割2クールだ」


しかし、このOP=ラストシーン(ラブライブでのライブシーン)
というメタ的なギミックを使えば、
このラブライブというアニメを綺麗に終わらせることが出来てしまう。


ここまで、凄く楽しんできたし、
これからも楽しませてくれるのだろうと、
間が空いても最低でも2クールは続くだろうと、思っていたから、
1クールで終わってしまう可能性を感じるだけでもかなりショックだった。